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和樹×透 2-13
「ねぇ、それわざとやってる?」
「は……?」
「そんなエッチな触り方されたら我慢できなくなるって」
「え……っ」
「今すぐブチ込んでやりたいくらいなのにさぁ……っ」
言いながら半ば無理やり手を離させて、和樹は透から距離を取った。
「なんで……っ」
急に突き放されて、透は思わず悲しげな声を上げてしまう。
すると、和樹は困ったような顔で言った。
「だめだよマッスー……。今日は此処までにしよ? じゃないと俺、マジで最後までやりたくなっちゃうからさぁ」
その言葉にハッとして透は俯いた。
和樹の言う通りだ。これ以上は本当にまずい。
まだ修学旅行は始まったばかりなのだ。そもそも、流されないと決めたばかりなのに簡単にぐらついてどうする。
自分に喝を入れる為にパンっと両頬を叩き、透は勢いよく立ち上がった。
そして、脱がされていたズボンと下着を手に取り素早く身に着ける。
その様子を見ていた和樹は一瞬驚いた様子だったが、すぐに苦笑いを浮かべてベッドに腰掛けた。
「……風呂行ってくる」
「なに? お風呂でヌイてくんの?」
「ぬ、抜くかよバカッ!!」
「ははっ、冗談だって」
ケラケラと笑う和樹に、透はむっとしながらシャワールームへと向かった。
***
熱いシャワーを浴びながら、透は大きく溜息をつく。
正直、危なかったと思う。あと少し理性が崩れていたら和樹に抱いてと強請ってしまいそうだった。
和樹とそういう事をするのは嫌じゃない。寧ろ最近では自分の方が嵌ってしまっているような気がする。
自分は身体の関係よりプラトニックの方が好きだった筈なのに。元カノの時は一カ月くらい何もなくっても平気でいられたのに今はどうだ。
和樹の匂いを嗅いだだけで興奮するなんて、自分はどれだけ……。
そこまで考えて、ふるっと頭を振った。取り敢えずあと3日。この修学旅行が終わるまでは我慢しなくては。
そう思いながらもなんだかモヤモヤするし、火照った身体は早々におさまってくれそうにない。
熱を持て余し、疼く身体を鎮めるために透はシャワーを冷水に切り替え頭から思いっきり被った。
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