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和樹×透 3-2

「でも、じゃぁどうして今日一日俺の事避けてたんだよ……。なんか、変なお教唱えだすしさぁ……。まさか、ひめゆりの塔で変なのに憑りつかれたんじゃ!?」 「いやいやいや! オレはオレだからっ! 憑りつかれてなんかないって」 じゃぁなんだ? と問われるとそれはそれで答え辛い。 だって言えるはずがないじゃないか。和樹の側に居るだけでどうしようもなくドキドキするし、もっと触れて欲しいと思ってしまうなんて。 だが、そんな恥ずかしい事正直に言えるわけがない。 「……言えないわけ?」 「っ」 じっと見つめられて、思わずドキッとする。真っ直ぐに向けられた瞳がまるで射貫かれているようで、心拍数が一気に跳ね上がった。 「ねぇ、教えてよ。なんで今日一日俺の事避けてたのか。嫌いになったわけじゃなかったら、なんで?」 「……そ、それは、その……っ」 「それは?」 言い淀んでいるうちに段々追い詰められていく。一歩下がれば一歩距離を詰めてきて、透はとうとう壁際まで追いやられて逃げ場を失ってしまった。 和樹は真剣な眼差しで透を見据えたままだ。 「……も、もしかしたら……このままだとお前に溺れすぎて、おかしくなると思ったから……」 「―――」 「だから、素数を数えてちょっと頭冷やそうと……っん、む……っ」 言い終わらなないうちに、背を壁に押し付けられる。逃れられないように足の間に和樹の膝が強引に割り込んで来て、股間をぐりっと押し上げられ、堪らずくぐもった声が洩れる。

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