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第1話(マジで天使っているんだな!)※

プシュー 「ありがとうございました」 運転手の声と共に乗客が降りて行く。ここは駅のロータリー、これなら出勤していくであろう乗客達が、急ぎ足で駅に姿を消していく。 「さて、もう一回りだな」 俺はそう呟いて伸びをした。 俺の名前は瀬戸優29歳、バスの運転手をやっている。毎日同じルートを運転し、仕事が終われば一人暮らしの家に帰る。 結婚もしてない、恋人もいない、見た目も平均、まあ身長はそこそこ高く180はある。趣味は酒を飲む事、筋トレ、車の運転が好きだから、この仕事している。 ただこの仕事は出会いがない! 周りが結婚しだして飲みに行く友達も少なくなるし、紹介もしてもらえない。 毎日家と仕事の往復だけで嫌になる。もっと出会いが多い仕事に変えようかと思うくらい平凡な毎日だ。 だが、こんな俺にも神様は優しかった! 毎日頑張っている俺に天使さんを与えてくれたのだ! プシュー 始発の駅に着く。ここから終点の駅まで乗って行く乗客が結構いる。 (おっ、天使さん! ) 真ん中位に乗ってきた、メガネをかけたサラリーマンの男性。 この人が俺の天使さんだ。 中央ミラーを見ながら、こっそりチェックする。 170位の身長に細身のスタイル。高級そうなスーツ、サラサラヘアー、フチなしのシンプルなメガネ。 (今日も最高です! ) この天使さん、バスを利用しだしたのはここ2ヶ月位。 4月だったから、新しい会社か移動で来たのかある時から、毎日利用しだした。 年齢的に20代半ば辺りだろうか? 新卒には見えないし、高級そうなスーツを着てるから、大手に務めてるエリートサラリーマンってとこかな(俺の勝手な想像だが) この天使さんに俺が恋した理由は完全に顔からだ。 俺の恋愛対象は男、しかもスーツにメガネ好き。 この要素を全部含んでる人が現れたら恋をしろと言ってる様なもんだ。 でも、それだけじゃない、この天使さんはとても優しい。 朝の通勤時間のバスはほとんど仕事に行く人で満員だが、たまに子連れや高齢者の人が乗ってきたりする。 その時に、天使さんは率先して席を譲ってるのだ。 仕事も出来て(俺の勝手な想像)、人にも優しい、見た目も完璧、こんな人を天使と呼ばすなんと呼ぶ? そんなこんなで俺の平凡な毎日はこの天使さんのおかげで、幸せな毎日なった。 仕事が休みの日、土日に会えないのが残念過ぎるが…平日だけ働きたいと言ったら怒られてしまったので仕方がない。 今は会える日を楽しみに運転する俺だった。 プシュー 「ありがとうございました」 終点の駅につく。 ゾロゾロと降りていく乗客の最後の方に天使さんがいる。 「ありがとうございました」 他の乗客より少し大きい声で言う。 「ありがとうございます」 ニコッと笑って天使さんが言い降りていく。 (ハァー可愛い! 笑顔ありがとうございます! ) ニヤニヤしたいのを堪えて最後まで乗客を送り出す。 __________________ 「いや~今日も天使さんは可愛かった~」 営業所に戻ってきた俺は今日の天使さんの笑顔を思い出してニヤニヤする。 「お前本当に会う度に言ってるな? 」 「だって毎回キラキラしてるんっすよ? 可愛いと言わずなんて言うんですか? 」 「ハイハイ、数ヶ月前までは毎日つまんないだの、いい事ないだの言ってた奴が、現金だな? 」 呆れたように俺を見る先輩。 上田さんと言って俺を指導してくれた人だ。 「本当に瀬戸さん、見てるだけで声かけた事ないんですか? そこまでタイプなら声かけて飲みでも誘いません? 」 不思議そうに後輩の山本が聞いてくる。 ちなみにこの2人は俺の恋愛対象が男と知っている。 「おい、山本。向こうは乗客だぞ? まずダメだろ? しかもイケメン、平凡な俺に声かけられても迷惑だし、男だとなおさら気持ち悪いって言われたら立ち直れない。見てるだけでいいんだ」 「お前はそうゆう所だけはバカ正直だな。そんなんだから恋人が出来た事ないんだぞ? 」 「うっ…」 痛いところをつかれ、俺は黙った。 「えっ? 瀬戸さん、今まで付き合った事ないんですか? その歳で? えっ? まさかドーテー? 」 クソッ2人でよってたかって俺をいじめる。 「し、仕方ないじゃないか! 恋愛対象が男ってだけでハードル高いのに、更に平凡ときたら、お金でも払わなきゃ出来ないんだぞ? 俺はそんなの嫌なんだ! 」 なんか説明してて悲しくなってきたぞ。 「そんな事言ってたら一生ドーテーだぞ? 」 「そうですよ! ゲイバーとかそうゆう出会いの所行って見たらどうですか? 」 「いいんだよ! 俺は見てるだけで! この話はおしまい! 俺、帰ります。お疲れ様でした! 」 2人の追求から逃れるように急いで営業所をでる。 「ハァー、一応2人は心配してくれてるんだよな…でも、話しかける勇気もないし、俺は今のままで満足なんだ」 自分を納得させ、コンビニで弁当と酒を買って帰る。 「プハァー! 」 買ってきたビールを一気に飲む。 「あー、上手い。今日も天使さん可愛かったな~。名前なんていうんだろう? 」 俺の毎日の日課になってきたが、酒を片手に天使さんの事をあれこれ想像してはニヤニヤしている。 正直キモいと思うが、妄想するだけならタダだから許して欲しい。 「今日も天使さんの流し目にムラッときたな。クソッ! 俺だって本当は、天使さんと仲良くなりたいよ! でも俺みたいな平凡な男に好かれてるなんて気持ち悪いよな? でも天使さんは、あんな色気ダダ漏れで会社で大丈夫なのか? 男女問わず狙われそうだよな? 」 どうでもいい心配をしながら、天使さんとの妄想シュチュエーションを楽しむ。 --俺の脳内-- 俺 「お客さん、終点ですよ? 降りて下さい」 天使さん 「運転手さん、実は財布忘れて、Suicaの残高もなくて。明日まとめてとかダメですか? 」 俺 「お客さん、それは困りますよ。ちゃんと払ってくれなきゃ! 」 天使さん 「じゃあ運転手さん、僕の体で払います! 」 俺 「おいおい、そんな事求めてないよ。こんな所で服を脱がないでくれ」 天使さん 「でも、僕お金ないんで…」 俺 「そうかい? じゃあ遠慮なく…いい体してるじゃないか? 見られただけでこんなになって、君は淫乱だね? 」 天使さん 「アッ…そんな…アンッ…急に…触ると…アッ…アッ…いい…」 俺 「ハァ…いいね…涙で濡れた君の顔…そそるよ。ハァ…ハァ…」 天使さん 「アンッ…もっと…奥まで…ンッ…ンッ…アッ…アッ… 」 俺 「自分から腰を振るなんて…クッ…俺も…やばいぞ! 」 天使さん 「アッ…アッ…ンッ…ンッ…いい…僕…イっちゃう…アンッ…アッ…アッ…アアッ!! 」 「ウッ! 」 「ハァ…ハァ…ハァー、またやってしまった…」 天使さんとの妄想が膨らみ過ぎると結局エッチな方向にいってしまう。 毎回天使さんをオカズに1人エッチ…罪悪感しかない。 「天使さんごめん、でも君が可愛すぎるからいけないんだ…」 俺は心の中で謝り、風呂に入る事にした。

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