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第1話

「おはよ、夏紀」  毎朝のことだが、隣家の幼馴染みが俺よりも先に飯を食っている件。 「おはよう、周防」  千崎周防は幼馴染みで幼稚園からずっと一緒にいて、今は高校二年生。   同じ高校で同じクラス。  同じ高校なのは地元だから当然だけど、ずーっと同じクラスなのだ。  幼稚園から小、中、高、ずっと同じクラスを更新中だ。  不思議だろう?  けど親父が言うには、 「ご先祖様がそうやってお前を守って下さってるんだ。神社の息子に産まれながら霊感ゼロのお前に対して、周防が通った道の跡には雑霊一匹残っていないほどの強力な霊能力。お前は霊を引き寄せる体質なんだから、周防から離れちゃだめだぞ?」  なんだそうだ。  つまりご先祖が誰か何かを操って、俺と周防を一緒のクラスにしてくれてるって事らしいが、普通ならそんな馬鹿げた話、と思うだろうけど、霊を相手にしている商売だからあながち嘘だろ、とも言えない。  確かに……親父の言う通り俺は霊感というか、霊能力みたいなのはないはずなんだが変な霊が寄ってくるという体質でもある。  中には悪霊みたいなのに操られた人間に襲われたりする時もある。  でも側に周防がいて一睨みすれば悪霊は消え去り、変な人間は周防の一撃で撃退してしまう。周防は身長185で腕っ節が強く、霊も人間も周防がじろっと睨んだだけで逃げていくんだ。更に勉強も出来てイケメンで学校ではみんなが周防の友達になりたくてそわそわしているってやつだ。  対して俺は霊能力もなく、背も低く、痩せたガリで、腕っ節にはてんで自信がない陰キャそのものなんだけど、周防はそんな俺でも仲良くしてくれて、神社の仕事でこきつかわれている俺に付き合ってくれるありがたい友人だ。

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