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第8話

 フェリックスは、ルシアの体を優しくなでながら、潤んだ瞳を見つめながら目じりに口付ける。フェリックスの唇は、そのままルシアの頬を愛撫し、唇を奪う。 「ああっ」  思わず漏れた喘ぎ、そのすきにフェリックスはルシアの口腔に舌を入れ、その中を味わうように弄っていく。蜜のように甘い唾液も啜てやる。 「ルシア、余の番になれ。余の番になって身も心も余の者になれば、今まで以上に守ってやれる。そなたの発情も抑えてやれる」  ルシアは半ば朦朧としたまま頷いた。兄からの初めての口付けだけでルシアの体は感じていた。 「いい子だ」  そう言ったフェリックスの唇は、ルシアの全身を愛撫していく。ルシアの発情した体は、それに応えて蕩けていく。蕾からは、見ずとも分かるほど愛液が溢れている。寝具も濡らすほどだ。  フェリックスがルシアの濡れた蕾に指を差し入れると、ルシアは体を仰け反られせる。電流が流れたように刺激に耐えられないのだ。ルシアは喘ぎながらフェリックスにしがみつく。 「ふふっ、濡れているな。オメガでもここまで濡れるのは珍しい。そなたの体は極上だ、余の番にふさわしい」  フェリックスは、ルシアの蕾を指淫しながら胸の尖りを舌で愛撫する。同時に攻められたルシアはたまらない。  発情前の幼さを残したルシアからは考えられない乱れっぷりに、フェリックスは驚きつつも深い満足感を味わう。まさに王に相応しいオメガだ。  王の血を引く極上のオメガ、それがルシアだ。 「ああーっああっ」 「ルシア、よいか噛むぞ」  ルシアは頷くばかりだ。余りの快感に思考する余裕は残っていない。  最初の発情以来、セリカから番の話は聞かされていた。番のいないオメガは辛い、母が父の番だったようにルシアにも番が必要だと。  しかし、セリカはそれ以上は言えなかった。国王の命令があったからだ。  フェリックスは決して己のことには触れず、ルシアに番の必要性を理解させるようにせよと、セリカ達に命じていた。  ルシアが抵抗なく番になることを受け入れるように、外堀から埋めていったのだ。  フェリックスは、ルシアが自分から己の番になることを望んで欲しいと思っていた。そして、それはフェリックスの思惑通りになったと言える。  ルシアの知るアルファは、亡き父とフェリックスだけ。そして、父の番であった母は幸せそうだった。  ルシアが、フェリックスの番になることを望むのは、ある意味必然だった。  フェリックスはルシアの項に触れる。その白く透明感のあるきれいな項を噛んだ。 「ああーっ」  ルシアは、痛みと電流の流れたような衝撃に襲われ、叫び声をあげた。 「ルシア、これでそなたは、余の番じゃ」  ルシアは、フェリックスに縋り付き、その体を求めた。もう恥ずかしいという思いは消えていた。番になったオメガの本能でフェリックスを欲しいと思った。 「ルシア、ここに余のものがほしいか?」  秘所に触れながら聞くフェリックスに、ルシアは頷く。だがフェリックスは、それでは許さなかった。 「ルシア、欲しいならば言葉にするのじゃ。もうそなたは、余の番じゃ恥ずかしがることはない」  「兄上様が……欲しゅうございます。どうか、もう……」  それでも恥ずかしいのだろう、消え入りそうに、漸く言葉にしたルシア。  これ以上焦らすのは可哀そうだし、自分も限界だ。フェリックスはルシアの蜜で溢れたそこに己の剛直をゆっくりと挿入させる。  一般にアルファのそれは大きい。それが、アルファのアルファたる所以でもあった。しかし、フェリックスのそれは。並みのアルファでは比較にならない。まさに王者に相応しい質量を、ルシアは難なく受け入れる。  やはり、ルシアも王者が番にするに相応しいオメガの証左でもあった。 「おーっ良いぞ! そなたの中は極上の心地だ」  フェリックスはその極上の心地を存分に堪能する。  ルシアも極上の心地よさに酔っていた。快感に身を任せ天上の浮遊感を味わっていた。  やがて、フェリックスは「動くぞ」と言い、注挿を開始する。  フェリックスの注挿が激しさをまし、ルシアも官能の昂りに追い上げられていく。そしてフェリックスの射精が始まった。  アルファの射精は長い。ルシアは長いそれを受け止めながら、やがて自身の官能も頂点をきわめ自失した。

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