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第1話
「母上ー!」
馬車を降りてすぐに駆けてくる愛しい息子、エリオ
興奮しているのか褐色の肌が目立ちにくいが赤らんでいるのがわかる
目線を合わせるようにしゃがみ込み、両腕を広げて待ってやる
エリオが僕の目の前まで来た途端、ピタッと立ち止まった
「離して!」
エリオの首根っこを掴み、動きを止めていたのはエリオの護衛騎士ギルバートだった
「殿下、ティト様のお腹には赤児が居るとお伝えしたでしょう。そんな勢いで抱きついてはいけません」
「う、」
ギルバートの言葉にエリオは気まずそうな顔をして目線を下げる
そんな顔も可愛くて、今度は僕からエリオを抱き上げてやった
「母上!」
「ティト様、いけません」
エリオは恥ずかしそうに、ギルバートは焦ったように声を荒げるが気にせず強く抱きしめてやる
「エリオ、ケーキを作ったんだ。一緒に食べよう」
「はい!」
「ティト様、殿下を下ろして下さい」
口煩いギルバートを無視してエリオを抱えたまま屋敷に入ると、ため息を吐きながら後をついてきた
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