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第2話

「母上、帰りたくないです」 ケーキを食べ一緒に遊んで過ごし、日が沈みかけた頃 そろそろエリオを帰さないと、と思ったところでエリオが発した言葉に空気が凍った 「エリオ、ごめんね。泊まることは許可されていないんだ」 「いやだ、ここがいい!」 「エリオ、我儘はいけないよ。またすぐ会いに来れるから」 「いやだ!母上と一緒がいい!」 エリオが涙を堪える姿に抱きしめて許してやりたくなる 許してやってもいいだろうか 「エリオ、」 「何を騒いでいる」 思わずエリオを抱きしめたその時、居るはずのない人の声が聞こえた 騎士や使用人も訪問を知らなかったようで一同に驚き、慌てて頭を下げる その姿に僕も膝を着こうとして止められた 他でもない、陛下に 「止めろ、子どもに障る」 ただそこに立って言葉を発しているだけなのに、とてつもない存在感に気圧される 止められた手前、簡易に礼をする僕の目の前に陛下が歩み寄る気配を感じると共に、顎に大きな手が触れ上を向かされた

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