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第5話

「どうして、俺だったの」 「…写真の影が薄かったから」 「ええ。ショック。死相が出てるってこと?」 「他の人は何かこう、アピール力が強くてギラギラしてて。 あんまり、そういうのは好きじゃないから」 だって、そういうお仕事だよ。 男は笑いながら、ゆっくりと俺の隣に腰掛けてきた。 男の身体は見た目以上に重く、ベッドが深く沈むのを感じた。 「こういう仕事、なんて言うんですか。ホストとも…違うような」 「適当な言葉が見つからないね。…”男娼”っていうのかな?何か、響きがやらしい」 「…そうですか」 聞きたいことが、ありすぎる。 慣れない場所。知らない感情。知らない男。 未知の世界を目の前にして、不安と好奇心が、交互に押し寄せてくる。 膝の上で握りしめた拳の中の汗が、掌をじわりと湿らせている。

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