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第39話
「大丈夫じゃ、なさそうだね」
そう言うと弘はこちらに近づいてきて、
ベッドの脇に膝をついた。
腕をベッドの上に載せて、伸ばしていた膝に手を掛けてきた。
小刻みに震える膝の揺れを感じ取ったのか、
膝下を手のひらで何度もさすりながら、申し訳なさそうにこちらの顔を見上げた。
「ごめんね。無理、させちゃった」
「大丈夫。大丈夫…です」
「お風呂まで、歩ける?抱っこしようか?」
「…いいです。自分で、歩きます」
抱っこ。
抱っこはさすがに抵抗がある。
ガタイの良い男に、そこそこ体格のある自分が抱き上げられている姿は想像出来ない。
重い腰を上げ、弘に片腕を支えられながら、
そろそろとバスルームに向かった。
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