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第4話

手枷や足枷をはめられて檻のようなものの中に入れられる その横を仮面(マスク)を着けた身なりの良い人達がこちらの様子を窺いながら通っていく 抵抗する気なんて、なかった いつの間にか、一縷の希望であった父さんのお店(仕立屋)は、抵当に入っていた 抵抗してもし、逃げられたとして、どう生きていけばいいのか解らなかったから もう、どうでもいい 僕は、あの時(火事の夜)家族(みんな)と一緒に 死んだんだ そう思うと少し気が楽になった 家族の遺体は損傷が酷く、直視することもできなかった まだ小さかったアル(僕の弟) 助けてあげられなかった あの時の 弟が必死に手を伸ばし、もがく光景が今も頭から離れない アルッ! 『時間だ。前へ進め』

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