きらびやかな装飾品は、ないものの豪華な食事や衣服に身を包む参加者の面々 薄暗い空間に司会者の声が広がる 『お待たせいたしました。只今より開催致します』 胸のところに番号をつけられて1人ずつ舞台の中央にある競売台に乗る 司会者がその商品(ひと)たちのプロフィールから付加価値までを述べ終えると、最低価格を付けられ、そこから値がつり上がっていく 『ほら、次！9番のお前、行け』 体格のいい色黒の男に腕を引っ張られて、袖口まで歩いていく 『600G！600G出ました！20秒で締め切ります！20,19,18......3,2,1終了です！8番は、052に600Gで入札！』 600Gで入札された彼女と入れ替わりに、僕は台に立った 司会者が僕の借金の半額と付加価値を言い終える 『800Gから始めます』 ザワッと会場の雰囲気がどよめいた 『はっはいっ！1000G！』 『074！1000出ました～！』 声のした方を見ると、頭の薄い小肥りの男性だった 仮面越しでも、美醜の程度がわかる いっ......いやだっ！ やっぱり、どうでも良くない！ 咄嗟にそう思った自分に驚くと同時に胸が引き裂かれるように痛む 僕は、まだ......自分が可愛いようだ アルを小さな弟を見殺しにしたのに......自分の今後を......危ぶんでいる 『1000G！あと、20秒で締め切ります！20,19......』 『1500G！』 耳に心地いい落ち着いた声が響いた 『せっ1500G！他にいらっしゃいますか？』 『せっ1800ごっG......』 『1800G！20,19,18......6,5,4』 『2300G』 その後も2500G、3000G、3200G、3700G、4000Gとつり上がっていく 小肥りの男性の方が少し苦しそうだ カウントダウンにビクビクしている 『やっやっぱり、よっ4400～！こっこれで、どうだっ』 『108の方、よろしいですか？』 『5000G』 『ひっ！』 『074の方、どうですか？20,19,18......3,2,1締め切ります。9番は、108に5000Gで入札！』