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第10話 リコの決意

「グレイ、わたし、決めました」  番になった翌日の夕暮れ、ベッドの上でゴロゴロとしながらリコがほほ笑んだ。  翌日の朝じゃなくて夕暮れなのは、察してくれとしか言えない事情だ。 「ん?」 「兄さまはドラコさまのために、根を張って守護樹となることを選ばれたそうです」 「うん」  ドラコは竜族だから寿命が長い。  そこに寄り添い続けるために、カプアは自分が選べる手段の中で一番寿命が長くなる方法を選んだのだそうだ。 「わたしも一人で長く生きるより、グレイと一緒にいる方を選びたい……だから、花になります」 「ん?」 「今のわたしは、種なのです。だから一度眠って、花になります。そして、あなたの子孫を残します」 「んんん?」  森の子は眠ることで花に変化するのだという。  花になれば使える不思議な力は増え、姿も寿命を選べるようになるらしい。  リコは森の子のままでいれば俺より長い寿命を、俺に合わせるのだという。 「狼は群れで暮らすのでしょう? だからわたしが子を産んで、あなたの群れを増やします」  魔法も竜族も森の子も、世の中には俺の知らないことがまだまだたくさんある。  その中でも、一番の不思議はリコだ。 「だから、守ってくださいね。何が起きても、わたしをそばに置いて、見届けてくださいね」  詳しいことはよくわからない。  けれど俺にそばにいてくれと番が望むなら……いや、望まれずとも番なのだから、そばにいるとも。  だから大きく頷いた。 「任せろ。俺は狼だ」  どんな存在でも、何が起きても。  狼は番を守るものだ。  お前は俺のかわいい森の子。    <終>  

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