16 / 22
①
「……ですって!」
「うそでしょ!?その相手は、一体誰なの?」
「さあ…顔までは見てないらしいけど。間違いなくここのメイドの誰かだって…」
最近、なんだかメイドさん達が騒がしい。
みんなでヒソヒソと話しては、慌ただしくしてる。
しかも…
「あっ…セツ様、おはようございます!」
「今日も変わらず、可憐でお美しいですわね~!」
「え…あ、ありがとう…?」
何故だかオレを認めると…
こうしてバツが悪そうにしながら、逃げていってしまうのだ。
(オレ、なんかやらかしたっけ…)
メイドさんと言えど、女子にああいう態度を取られるのは、落ち着かないわけで。
原因は一体なんぞやと、頭を巡らせるけど。
特に思い当たる節もないし…。
グイグイ行くタイプではないけど、人付き合いは昔から得意な方だったし?メイドさんに陰口言われるようなこともなく、オレ的には馴染めてると思ってたんだけどなぁ。
まあ、メイドさんの様子からすると…単に嫌われてるとかじゃあなさそうなんだが。
さすがに気になってしまうのは、仕方ないってもんだよね…。
うーん、ホントなんなんだろ?
「セツ~やっと解ったぜ!」
そんなオレに気付いた…や、あれだけメイドさんの態度があからさまだったら、誰でも気付くだろうけども。
オレの為にと、ジーナが真相をつきとめてくれたようで…。勢い良く現れたかと思えば、颯爽とオレの元へと駆け寄ってきた。
後ろから、セットでロロもついて来る。
「ジーナ、やっぱりセツには言わない方が…」
追っかける形でやってきたロロは、慌てた様子でジーナを制止し始めて…。
意味深なそれに。オレは不安を抱きつつ、首を傾げる。
「んあ?けどさ、このままじゃあ解決しねーだろ~?セツだって気になって勉強が手につかなくなってるし…」
「けど、ルーが…だよ?」
真相を語ろうとするジーナに、言葉を濁すロロ。その口から思いもよらぬ名が飛び出して…。
目敏く反応するオレは、すぐさまふたりに詰め寄った。
ともだちにシェアしよう!