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⑦
「やや…だ、ダメだろっ…」
何でオレなら良いとか言っちゃうんだ、コイツは…。
男同士なのに…ちょっとときめいちゃったじゃんか!
くっそう…コレはきっと、あれだ。
ルーファスが反則的に格好良すぎるから、いけないんだ。
だから、決してオレがヘンなわけでは…
コイツの問題発言に、頭ん中はパニック状態なのに。ルーファスの追撃はこれに留まらず…更にオレを翻弄していく。
「駄目…か?」
セツは嫌なのだなと、あからさま落ち込んでみせるルーファスに。なんで!?…って変な期待が高まるもんだから。
オレは慌ててイヤイヤと頭を振った。
「すまない、お前と噂されたと知り…少々浮かれてしまったようだな。」
浮かれるってどゆこと?
ルーファスの反応見てると、ダメだ…なんかコロッとその気にされられちゃうからヤバい。
違う違う、コレはコイツの無自覚なタラシ行為なわけであって…他意はないんだから。
だから、なんだって言うんだよぉ~…
「別に、オレだって…」
ほら、ルーファスが妙な事ばっか言うからさ。
オレまでおかしくなっちゃうじゃんか…。
「ルーファスの相手がオレだって知って、安心したし…」
もし今本当に、メイドさんと恋人だった────なんて宣告されたら。オレ、きっと立ち直れなかったもんな…。
そんなことを、モゴモゴと口に出せば。
ルーファスは目を丸くして…オレの肩をガシリと掴んだかと思うと。真剣な面持ちで、こう叫んでいた。
「セツ…私は何があろうと、私はお前だけのものだ!」
″守護騎士として─────…″
その言葉がなかったら、本当に勘違いしちゃっただろうけど…。
ルーファスは生涯を以てして、オレに全てを捧げるからと。大袈裟にもわざわざ跪ずき、騎士の誓いをたてるのであった。
『…なぁんだ、つまんねーの。』
『ふふ、本当は安心したんでしょ?ジーナが一番セツのこと、心配してたもんね。』
『ばっ…別にそんなんじゃねーって…』
そんなオレとルーファスの遣り取りを、影ながら見守る4人組。
『セツのメイド服、ぜひ僕もこの目で拝見したかったなぁ。もう一度頼んで、着てもらおうかな?』
『…陛下も同じ事を仰ってましたよ。先日何かしら衣装を作るとかで、セツの服の寸法を一から事細かに調べてましたしね…。』
それが後々、別の形で成されようとは露とも知らないオレは。
「それだけあの時のセツは、乙女の如く可憐だったからな…」
「もう、ばか…」
その後も、ルーファスに蝶よ華よと散々煽てられた挙げ句。まんまとその気になってしまい…。
再度迫り来るであろう、二度目の黒歴史の気配に。
全く気付いていなかったのであった。
おしまい☆
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