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純愛Ⅲ-ワイルドな夜編-《咲輝side》1

父親が海外で個展を開くことになり、緋禄と一緒にその祝賀パーティーに参加をした。 父が緋禄を見つけるなり駆け寄ってきた。 楽しそうに会話している。 「よぉ咲輝」 「輝雄(テルオ)さんお久しぶりです」 その時、叔父の息子で従兄弟の輝雄さんに声をかけられた。 「お前の写真また賞を獲ったらしいな」 「はい」 「由輝さん(おじさん)のおかげだろ、どうせ。俺の方がいい写真撮るぜ?」 この人はいつもこんな感じで俺に突っかかってくる。 「あ、咲輝くん!いたいた!この前の受賞作品すごかったねぇ。話を聞かせて」 「はい。じゃあ輝雄さん失礼します」 顔馴染みの人たちに声をかけられて、父と一緒に挨拶まわりをすることになった。 緋禄は一人でもくもくと飲食をしている。 だいたいいつもパーティーに参加しても挨拶まわりで終わってしまう。 でも今日は緋禄がいるから早く二人きりになりたい。 「今日は輝雄、あの子狙ってるらしーぜ」 「え、どの子?」 父と挨拶まわりをしていると、輝雄さんの友達らしき人たちの会話が聞こえてきた。 「あの赤い髪の、あそこで一人で食べてる子」 「あー、輝雄好きそう。ああいうのタイプだよな」 二人が見ている視線に目を向けると、やはり緋禄のことを言っているようだった。 輝雄さんは遊び人で有名。 とっとと挨拶まわりを終わりにしないと。 「でさー、あのボーイにいつもの媚薬と酒混ぜたジュースをあの子に渡してもらうように頼んだらしいぜ」 「まじ?あいつ昏睡プレイ好きだもんなー」 「いつもの媚薬の3倍濃くしたって言ってたからな。あの子落ちるだろ。可哀想に。可愛がってもらえるといいな」 その会話の途中で、緋禄がボーイからジュースを提供されている姿が目に入った。 俺は挨拶まわりを中断してすぐに緋禄の傍に駆け寄った。 頼むから、飲まないでくれ―… そう思って急いで緋禄の背後からそのジュースを奪った。 「これは俺のだ」 「咲輝」 そう言って奪ったジュースを全て飲み干した。 「おいおい!わざわざ俺の奪わなくていいじゃん。まぁ美味しくなかったからいいけどさ」 緋禄の話しを無視して、俺はボーイを呼ぶ。 「すみません。彼は体調弱いので今後はミネラルウォーターだけにしてあげてください」 「かしこまりました」 「ひっど!俺はここに来て水しか飲めないのかよ!」 「緋禄、もうすぐ挨拶回りが終わるから、そしたら部屋でゆっくりしよう。絶対水以外飲むなよ?」 まて、なんだこれ… 体が熱い。これのせいか? この場で緋禄にキスしたいぐらい興奮している。 そして俺は緋禄の耳元で囁く。 「たくさん、しような」 「―っ…!?」 緋禄は顔を赤くして驚いている。 「咲輝くん、ちょっと取材いいかな?」 「あ、はい」 美術系の雑誌の人に話しかけられて、父の作品についてどう思うのか問われた。 20分ぐらい取材を受けただろうか。 パーティー会場を見ても緋禄の姿が見当たらなかった。 「輝雄、あの子と一緒に出てったな」 「あーあ、激しい夜になっちゃうね」 輝雄さんの友人達の会話を聞いて、俺はすぐさまパーティー会場を後にした。 幸い、エレベーター前で会話をしている二人を発見した。 輝雄さんに肩をぐいっと引き寄せられている。 ―…ふざけるなよ 「すみません」 「咲輝」   「俺たちもう部屋に戻るので」 そう言って俺は緋禄の手を掴んで、開いたエレベーターに乗った。

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