68 / 134

Inverse view 4

アルノルドの指が滑るように肌を擽る。肌のどこを触れられても、ゾクゾクと背筋に、微弱電流のような痺れが走っていく。 強烈なほどの快感だ。自分だって男だ。施した愛撫に乱れる女性を見ることに興奮はする。 何もない状態でなら、男の自分が初めてで、ここまで何をされても感じることはないだろう。女のように喘ぎ反応する躰に戸惑う。 口唇が触れたところが熱を持ち、肌を滑る指にいちいちビクビクと反応する躰を、アルノルドは完全に愉しみながら肌のあちこちに舌を這わせる。 それが一番嫌なのに、一番気持ちいい。吐く息も熱い。まだ、理性を捨てきれない分、その躰と心が葛藤している。 ――イヤだ、イヤだ、イヤだ!! 心では拒否をしているのに、躰はそれを裏切るかのように、その刺激を甘受する。強すぎる刺激に生理的に涙が浮かぶ。呼吸が苦しくて、口の中がカラカラで辛い。 肌をくすぐっていた、彼の指や口唇が、胸の突起に辿り着く。媚薬ですでに充血して、固くなった尖端に、軽く歯をたてた。 「……ひゃん!!……やっ……やだッ……やっ……やめっ……」 「イヤ?そんなわけないだろう?そんなにいい反応をして、気持ちよくて仕方ないって表情をしているのに?説得力ないなぁ。それに、こんな愛撫じゃまだまだ足りないだろう?」 冷たい指が頬に触れた瞬間的、火照った頬に心地いい温度をくれる。その冷たさを求めて頬を寄せてしまった。 両頬を挟まれ口唇が触れる。そのまま舌を捩じ込まれた。 「……ぶっ……口の中がカラカラじゃないか……」 吹き出して笑いながら唾液を流し込まれた。妙な乾燥からは逃れられたが、喉の乾きを潤すほどじゃない。 再度、胸の飾りに軽く歯を立てられ、ジンジンと痛むそこをやさしく舌が這う。反対側も指先で、強く摘まれ、その後に指の腹で優しく愛撫される。 「……ひゃっ!!あぁ……ん!!」 より、強い快感に腰が跳ねた。 「腰が動いてるよ。ずっと続けてたら、ここだけで達けちゃうんじゃない?」 ――男なのに、どうして、こんなところで感じる? その戸惑いに、クリスの意識が少しだけ躰からズレた。それを見逃してくれる、アルノルドではなく、 「まだ、まだ、余裕があるようだね。」 胸の尖りを弄っていた手が、突如、躰の中心をギュッと掴む。 「やぁぁっ!!」 ビリビリと全身に強い快感が伝わり、さらに大きく躰が跳ねる。咄嗟のことに、刺激と恐怖を感じて、悲鳴のような声をあげた。男にとっては急所である場所を握られていることは恐怖でしかない。 指はズボンの前を膨らませたその上を、カリカリと引っ掻くように動き、さらに熱が集まり、膨張する。上半身の服は破られたが、下半身はまだ、そのままでかなりきつい状態にはなっている。 「…フッ、キツそうだね。」 上半身だけの刺激なのに、媚薬の所為もあってか、下着は先走りで大きな染みが広がり、粗相をしたように大量の先走りがあふれ出し、すでに冷たさすら感じる。 目を見つめたまま、アルノルドは、クリスのベルトを引き抜き、ジーンズを下着ごと足から引き抜いた。その手際の見事なことは見過ごすことにする。そんな余裕なんて残ってない。 最高潮に膨張して、固くなったそこは、プルンっと揺れながら、さらに新しい蜜が次々にあふれ出し、肉茎に滴らせていく。その雫の滴りですら快感に繋がってしまう。 少しの刺激で、爆発してしまいそうなほどだ。けれど、吐き出して楽になりたい気持ちが、勝っていくのが怖かった。自分がイッたとしてもそこで終わりではないだろう。 この男の手で、達かされることへの抵抗が、まだ理性が残っている分、イヤだったのだ。 けれど、自分の中で渦巻く激流のような快感を逃す術は一つしか知らない。それで収まるのかもわからないくらい躰の熱は燻っている。 そして、自分の身体が自分の自由にならない以上、導かれる手は一つしかない。助けを求めようと、何をしようと、この男にしか届かないのだ。 解放して欲しい、と願いながら、達きたい、という願いの方が大きくなっていく。 理性を手放すのは時間の問題となりそうで、それがイヤだった。それでも、アルノルドはその手を取り手の甲にキスをした。

ともだちにシェアしよう!