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第3話
ラブホテルの一室、暖色の照明のせいで時間感覚が狂ってくる。
…じゅぽっ…じゅっ……じゅるっ…
「……ぁ、荒井さん…もう…、やめてくれ…、あぁっ……」
「なんれ…やめなきゃ…いけないんれすか…」
荒井さんはベッドに座った俺のチンポをしゃぶっている。上手いのか知らないけど、凄く気持ちいい。今にも骨盤が砕けそうなくらい、気持ち良い。勃起なんてとっくにしてる。
「……はぁっ…あ、荒井さん…もう…」
「…せっかく、花岡さんとお友達になったのに、何も無かったことにされるの、嫌です。絶対、いや。」
俺のチンポしゃぶりながら、自分のも擦っている。
「…はぁ…♡花岡さん…♡勃ちましたよ…?抱いてくれる……約束でしょ?」
「あ……あぁ……」
寸止めかよ……もう少ししてたら、多分イってた。
「イきそうでした?」
「あ……いや……」
「気持ちよかったですか?…イかせてあげますよ……」
「あ、いや…あっ…っ…」
またしゃぶり始めた。
…じゅるっじゅるっ……じゅぽっ、じゅぽっ…♡
音がいやらし過ぎる。何故か知らないけど、相手が男なのを忘れそう。
「はなおかひゃん……んんっ…… ♡」
「荒井さん……」
飴でもしゃぶるかの様にチンポしゃぶらないでくれ。
「あ…、あぁ……イくっ…!」
「イっれくらひゃい…♡」
「あっ…!」
「んん〜っ♡」
荒井さんの口内に出してしまった。
「はぁ……、はぁ…。荒井さん、ほら、ティッシュ……出しなよ」
「ん……?えへへ♡」
荒井さんが口の中を見せてきた。俺が出したはずの精液はもう無かった。
「飲んだの……?」
「はい…♡」
荒井さんが想像以上にエロくて、この男の子なら抱けると思ってしまう。
「花岡さん……いれて…ください♡」
服を脱いで脚を開いては、ひくついたアナルを見せつけてくる。
「……ほら、解すから…。」
「自分でやります…」
「いいって。ほら。」
何故か抵抗が無かった。荒井さんのアナルに指を突っ込むのも、舐めるのも。この部屋に来てから全ての感覚が狂ってくる。
「ぁっ……!舐めないでぇっ、」
「…仕方ないだろ。」
「あ……♡あぅっ…んっ...///はぁ…なんか、くすぐったい♡」
「指いれるよ…」
「ん……♡あ…はいってきた♡」
付けた唾液のせいか、指を動かす度にぐちゅぐちゅと音が鳴らして、感じているのか腰を浮かせていた。
「あ…っ…♡…そこ…♡…気持ちいい♡」
「お腹気持ちいいの?」
「…んぅ…気持ちいい♡♡あ〜っ♡」
…本当に、男とやったことないのか?
指で解していると、どんどん広がってくる。入る指が二本、三本…と増えていった。
「花岡さん…もう、入れてほしい。」
「……。」
「約束、でしょ?」
「…本当に、抱かれたいのか。」
「なんですか今更。抱かれたいから、こうやってるのに。」
「すまん。」
ギンギンに勃起したチンポを広がったアナルに当てた。
「入れて…はやく♡」
「……ん…」
「はぁっ…♡♡」
腰で押すとゆっくりと入った。
「あぅ…あぁ〜っ♡♡」
「入った…」
「はぅ…♡花岡さんの…子作りチンポ…♡♡」
「や、やめてくれ…」
「えへへ…♡動いて…♡」
「ん……!」
俺は夢中になって腰を振った。
なんか、嫁とやった時より、興奮してる気がする。
「ああっ!ああんっ!…気持ちい、気持ちいぃっ♡♡花岡さんの…っ…、子作りチンポ、すっごく気持ちい!♡」
AV見てる気分だ…。
「やめてくれよ…荒井さん…」
「…なお、って呼んで。」
「…なお。……なお…!」
「イく、イくイく♡♡」
「あぁっ、イく…!!」
イきそうになった途端に、荒井さんは俺の顔を引き寄せて、キスした。
「んんっ…!!」
キスしながら、ほぼ同時にイった。
そんな1回じゃ終わる訳も無く。体位を変えて何度もセックスを続けた。
「気持ちいい…♡♡」
「……はぁっ…はぁ……」
「花岡さん、もう、終わり?」
「…ううん。なお は終わりたいの?」
「えへへっ♡やだ♡♡もっと欲しい…♡」
すると、携帯が鳴った。
「…花岡さんの携帯?僕の携帯の音じゃない。」
「えっ、」
慌てて携帯の画面を見ると、妻からの電話。
「…まずい……」
時計を見ると、数時間も経っていた。
「…奥さん…?」
「……なんて言おうか…」
荒井さんが後ろから抱きついてきた。
「……こんな時は、嘘と本当を混ぜるんですよ」
「?」
「…荒井さんと居るって。言えばいいんですよ」
「でも…」
「誰が、男の子とセックスしてるなんて思います?」
「……」
「言ってみてくださいよ。きっと、大丈夫ですから」
「…う……」
荒井さんの言う通りにした。
「沙緒里?」
〝泰志さん、今どこにいるの?〟
「あぁ…荒井さんと一緒に…」
〝なぁんだ、早く連絡してよ。びっくりした〟
「ご、ごめん…はは。」
荒井さんも声を出した。
「奥さん!ごめんなさい、僕が急に誘っちゃって。」
〝そうなのね、大丈夫。…泰志さん、早く連絡しろよ!!!〟
「沙緒里、ごめん」
〝許さなーい!〟
沙緒里は笑いながら電話を切った。
「……ほらね?」
「…」
荒井さんは悪魔だ。
「…旦那さんが、男の子とセックスしてるなんて、誰も想像しないんですよ」
「……こんなの何処で学んだんだよ」
「…映画ですよ♡」
「うーん…」
荒井さんは笑った。そして頬にキスされた。
「花岡さん♡♡」
「……」
「シャワー浴びますか?」
「あぁ…」
「行きましょ♡♡」
ガラス張りの浴室。シャワーを出せば、ガラスが曇る。
「花岡さん♡♡」
「……ん」
「えへへ…♡♡」
首に手を回して、シャワーに当たりながらキスした。
「んんっ...///んぅ…ぁん…♡♡」
キスしただけで、また勃起して。
俺、おかしくなったのか?
「…花岡さん♡まだまだ元気ですね♡♡」
「あ、ちょっと…」
荒井さんはしゃがみこんで、手で擦ってはチンポを咥える。
「…へへ♡…おっきい…♡♡んんーっ♡♡」
「咥えるなら、奥まで咥えて。」
「んんーっ!んぁぅ……」
上目遣いで見ないでくれ。
「…だひてくだひゃい…♡」
「……しょうがないなぁ…」
少し腰を動かしたくらいで、荒井さんの口に射精した。
「えへへ…♡おいひい…♡」
そう言って飲み込んだ。
「もっと…えっちしたい…です♡」
「……ん…」
「こんなに元気なのに、やめるんですか?」
「……分かったよ。ほら、後ろ向いて。」
「立ちバックだぁ♡♡」
今までのセックスでアナルはもう広がっている。そのまま、また挿入する。
「あぁ…♡あっ…あっ…あぁ…ん…♡♡」
「前擦らなくても、イける?」
「うん…♡もっと突いて♡」
あまりにも可愛くて、キスして腰を振った。
「んんっ♡んっ…、んぁっ…♡」
温かいシャワーで顔も赤くなって、唇も口紅をつけたみたいに血色がいい。尚更、可愛くて。
「…ふぅ…」
「あぅ…!あっあっあっ!!らめ!らめ!気持ちいいよぉ…!」
「あぁ…っ…」
また、上目遣いで俺の方を見てくる。蕩けた顔で色っぽくて。堪らねぇよ。
「はぁっ…!はぁっ…、気持ちいいよぉ…♡♡ もっと突いて…!」
「はぁ、煽らないでくれ」
「えへへ…♡」
結局、家に帰ったのは深夜だった。
沙緒里が珍しく起きていた。どうしよう疑われたら…。結婚してから一番不安になっていた。
「もう、泰志さん!早く連絡してよ!」
「ご、ごめん…!」
沙緒里には、帰りが遅いなら早く連絡しろと怒られて終わった。
…疑われない。
荒井さんの言う通りだった。
相手が男なんて、思ってもいないんだろう。
それに荒井さんが男で、荒井さんと仲がいいことも沙緒里は知ってるから、尚更。
俺は、味をしめてしまった。
いや、勿論罪悪感はある。恵を見ると、尚更。こんなパパ、絶対嫌だよな。
それから荒井さんとはたまに会い、荒井さんの部屋で全く観る気のない映画を垂れ流してセックスすることが増えた。
体の関係をもつのって、人を狂わせる。
「花岡さん、いらっしゃい。会いたかったです」
荒井さんはいつからか、俺とセックスする前提で家で待っている。黒いダボダボのスウェット1枚で、下着なんて履いていない。
色っぽくて長い足が見えると一気に興奮して、その身体を抱いてキスをする。
「んっ…!……んんぅ…♡…えへへ、花岡さん…溜まってた?」
「……あぁ、多分。」
「いいよ…♡…いっぱいしよ?」
俺は性欲が溜まると、荒井さんを訪ねるようになってしまった。
「ん…♡かたくなってきた……♡んぅ…」
彼の部屋に来て靴すら脱いでないのに、しゃぶられて、ギンギンに勃起して。
「もう解してるから…いれていいよ…♡」
「はぁ……」
「…あぅ……♡んぁっ…んんっ、あぁんっ!!」
玄関の壁に荒井さんは手をついて喘ぐ。
何故こんなに男に興奮してるのか、俺でもよく分からない。
中性的な顔のせい?喘ぎ声がエロいせい?
それとも、このエロい尻のせい?
「あんっっ♡♡」
ぺちんと尻を叩いた。
後ろから突いていると、叩きたくなる尻。常に服の下に隠れてる部位だからか、日焼けなんて全く知らない真っ白な肌。肉付きも良くて、肌と肌がぶつかり合うといい音が鳴る。
「あっ♡あっ♡……あぁ…いく……いっちゃう…♡♡もっと…強く…ぅ…♡♡あっ、いく!♡」
回数を重ねる度に、感度の良くなる彼の尻。
「イく….、いっ…くぅっ……ああぁぁっ♡♡」
「……尻だけでイったの?」
「…えへへっ、いっちゃったぁ……♡♡」
俺の方を振り返って、上目遣いで笑う。
息を切らして、顔を赤くして。床には、白い精液が零れ落ちる。ちゃんと、男の子なんだと思わせられる。
「んんっ……♡」
こんなエロい子を目の前に、キスなんて我慢できないに決まってる。
「はぁっ……♡…花岡さん…♡ベッド……行こ…♡」
「……ほら、歩いて。」
「あぁんっ、これやぁだ♡」
靴も上着も玄関に脱ぎ捨てて、結合したままベッドへ。
荒井さんの住む部屋には必要最低限な物だけ。ベッドは勿論シングルで、大人2人には狭すぎる。セックスするだけだから、問題は無いんだけど。
2回戦くらいで今日終わり。
「……はぁ、はぁ…」
互いに射精して絶頂を味わったら、俺は帰る。沙緒里と恵と夕飯を食べるために。じゃないと、相手は女じゃないかって怪しまれるかもだし、何せ旦那であり父親でもあるから。訳分からない理由だとは自覚してるけど。
「…あぁ、時間だ。俺、そろそろ帰るね」
「……」
荒井さんと会う日は、いつもこんな感じ。同じ映画好きで、一緒に映画を楽しむなんて、もうどうでも良くなった。
セックスができれば、互いにいいんじゃないか。
しかし
荒井さんから身体を離そうとしたとき、両腕を掴まれた。
「……花岡さん。」
「ん?」
「……花岡さんは、僕のことどう思ってるんですか」
「え?」
突然の質問だった。何かの映画やドラマで聞いた事のあるような質問で。
「…友達ですか?」
「……ん…」
よくよく考えれば、この関係はセフレという方が正しいかもしれない。
「…セフレですか?」
「……んまぁ…そうなるな」
俺はその質問から逃げるようにして、荒井さんから身体を離し、服を着始めた。
「これって浮気じゃないんですか?」
「…え?」
「浮気でしょ?奥さんに内緒で、僕と身体の関係を持った。…そうでしょ?」
「…男だし。」
「じゃあ、奥さんに言ってもいいんですか」
「は?」
「貴方の旦那さんは、男の子とセフレの関係ですって。セックスはするけど、浮気じゃありませんって。」
「…お、おい…!」
流石に戸惑った。
「…でも僕、花岡さんの愛人になりたい。」
荒井さんは俺の体に、そっと抱きついた。
「…僕と浮気しようよ。絶対に、バレないから。ね?」
「……浮気って。」
浮気の定義が分からなくなった。
何処からが浮気?
隠したら浮気?恋愛感情を抱いたら浮気?身体の関係をもったら浮気?異性なら浮気?手繋ぐ?キスする?デートだけなら?
「……分からない。」
「どういうことですか」
荒井さんの腕はぎゅうっと力が増すばかりで、俺を離してくれなかった。逃げるなと言わんばかりに。
「…俺は、荒井さんをどう思ってるのか分からない。」
「…てことは…どうも思ってないってこと?」
「いや、だからその…。俺、マジで帰らなきゃ」
「…逃げないでよ」
また腕の力が増した。腹が苦しくなってきた。
「……僕をただの性欲処理だと思ってた?ラブドールだと思ってた?」
「いや、だから…」
「まぁ…別にいいよ。」
「は?」
「…花岡さんの性欲処理のおもちゃでいいよ。…でも、なれるなら愛人になりたい。」
「……愛人…?」
「うん。僕に、愛人の肩書きくれないかな」
「……名前なら好きにすればいい」
「名前だけじゃなくて。僕と浮気してよ」
「……そろそろ離してくれ。帰らなきゃいけない。」
「……。」
やっと腕が離れた。俺は急いで服を着て、この部屋を出ようとした。
靴を履いていると視界の端で、荒井さんが全裸で佇んでいるのが見えた。
「……」
ふと目線を上げて、荒井さんを見た。
「…また、ヤリたくなったら来てね」
何処と無く悲しげに見える笑顔を見せて、手を振っていた。
「……じゃ。」
俺は目を逸らして部屋を出た。
いつも必ず外に出ると、罪悪感が湧いてくる。
心の何処かで、荒井さんに対して 雑に扱うようになってしまったと申し訳なさを感じてる。
たった数時間、セックスする為だけの関係になったことも。
「ただいまー」
「ぱぱー!!」
「恵!ただいま!」
「おかえり、泰志さん」
「ただいま。」
「ご飯出来たとこ、早く着替えてきて。」
「うん、美味しそうな匂いがする」
「そうでしょ?早く食べよう、」
「お腹空いた」
夕飯を家族と共にして、風呂に入って、就寝すれば、一日が終わる。家族と話していると、不思議な感覚に陥る。なんとか自然に見せようと、隠し事がないように見せようと必死に頑張ろうとしてる。相手は家族なのに。
「……」
どこか落ち着かなかった。
荒井さんが回した腕の感触が忘れられない。未だに腹か胸が締め付けられるようで苦しい気がする。
〝愛人になりたいの。…僕と浮気しようよ〟
身体の関係をもったのが、間違いだったのは勿論分かる。
「はぁ……」
隣で寝る妻と娘を見ると、余計に罪悪感に駆られた。
もうやめよう、その時そう思った。
それから俺は暫く荒井さんと連絡を取らなくなった。勿論、彼からの連絡は来たがあしらうようにした。
「これじゃ何も解決してない…。」
夫として父親としての役割を、果たせている気がした。元の正規ルートに戻ったみたいな気分。罪人が更生しようとしてる感じっていうか。
しかし、その代わりに荒井さんに対する罪悪感が募っていく。それでも、行き場のない俺の性欲は溜まっていくばかりで。
「どうしたらいいんだよ……」
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