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第14話

 すると鍵を閉めた瞬間、後ろから抱きしめられた。ゾクゾクしてしまったのは仕方がないだろう。去年一年間ずっと開かれていた体だ。 「そろそろ俺が欲しくなっている頃かと思ってな」 「……」  悔しいが、事実である。僕は唇をかんだ。すると後ろからジャック様が僕の服を開けてきた。 「せめて寝室で……」 「ああ」  結果、そのまま移動して、僕達は致してしまった。もう閨の講義は終わったというのに……。その日のジャック様はいつもより性急で、僕は激しく体を貪られた。  ――このような流れから、結局僕とジャック様は、王立学院でも寝るようになってしまった。月に一・二度ふらっとジャック様は、僕の部屋にやってくる。そして僕を押し倒して、ヤる事をヤると帰っていく。その際、特に会話はない。  ……完全に、性欲解消のはけ口にされている。  僕はそう確信している。ただ、僕の方も気持ちがいいので、それは別にいい。  ただ完全に自分が都合のいい相手にされている点だけが、嫌だなぁと思わせてくる。口の堅いセフレ状態になってしまったのだ。  こうして学院生活も半年ほどが過ぎていった。  そろそろジャック様は、妹と婚約していないと、破棄事件が発生しない状態になるなと、僕は思った。このまま事件は発生しないのだろうか? そう考えていたら、ある日父から手紙が届いた。 『王家からジャックロフト王太子殿下との婚約の打診があった。一度話がしたいので、次の休暇に戻るように』  ……やはり、婚約破棄は起こるのか。  まず思ったのがそれだった。僕は陰鬱な気持ちで、その手紙を見ていた。 「フェルナ?」  すると本日も部屋に当然のようにやってきたジャック様が、後ろから僕に腕を回してきた。ソファに座っていた僕は、ちらっとジャック様を見た。  ジャック様が婚約したら、今度こそ僕達の関係も終わるのだろうなぁ。  なんだか最近では、それが少し寂しくもある。だが僕は公爵家を継がなければならないし、ジャック様は次のお世継ぎを期待されているし、どのみち長続きはしないだろう。  こうしてみると、意外と優しいところもある。外見は男前だ。 「どんな手紙だったんだ? 顔が曇ったぞ」 「……ジャックロフト王太子殿下のご婚約をお祝い申し上げます」 「ああ。その知らせなら、もっと喜んでくれ」 「そういう気分じゃないんです」

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