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第16話
僕は頷いた。しかしそんなに体の相性がいいのだろうか。ジャック様も同じ考えだったとは驚いた。
こうして僕はすぐに寮へと戻った。
すると翌日の新聞に、僕とジャック様の婚約発表記事が掲載された。
なおその報道の後、僕とジャック様はまだ一度も会っていない。
会わないままで二週間ほど経過した。
この日僕は部屋にいた。まだ実感がわかない。そう考えていたら、ジャック様が訪れた。合鍵は、随分前に欲しがられて渡してあった。
「久しいな」
「そうですね」
クラスも違うので、接触することはほぼない。
「――二週間と少しで、久しぶりと思ってもらえるだけ、俺も進歩したな」
「はい?」
「年単位だっただろう、昔は」
「はぁ……?」
まぁ、確かに僕は王宮には近づかなかったし、その見解はあっているだろう。
「婚約者になれて、俺は嬉しい」
「……」
「嫌ではないと言ってくれた事も嬉しかった」
それは誤解である。僕は妹とジャック様の結婚だと疑っていなかった。ただ、今となっては嫌ではない。一つ分からないのは、ジャック様の気持ちだ。
「どうして僕を婚約者に?」
「どうして、というのは?」
「というのは、といわれても……その……セリアーナでなかったのかと思って」
「……フェルナ。俺は……その……――伝わっていないのはよくわかった。ただ伝え方がわからない」
「何をですか?」
「……」
深々と溜息をついて、ジャック様が黙ってしまった。
ただ僕に歩み寄ってくると、不意に僕を抱きしめた。
「ジャック様?」
「もう少し考えさせてくれ、その……伝え方を」
「はぁ?」
よくわからないので、僕は頷いておいた。この日も僕達は体を重ねた。
その内に、僕達もついに二年生になる事になった。僕はドキドキしながら、新入生の名前が張り出されている板の前にいる。ヒロインの名前は変換可能だったが、デフォルト名はアーネだった。あとは素性として平民のはずだ。平民の入学生はほとんどいないからすぐに見つかるだろうと思っていたら、僕はその日の午後には発見した。
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