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中学編~第四話

しおりは顔を真っ赤にして頷く。 「こらこら、同い年なんだから敬語とかいらないよ?あ、あと近々暇な日ある?」 「暇な日…?」 「そう。デートっていうほどのものじゃないけど俺、しおりのこと何も知らないからさ。ご飯でも食べながら、色々話したいなって」 こうして交際が始まった。しおりはテニス部入っていたから、一緒に帰るために何もせず待っているわけにもいかず、仕方なく自分も部活に出る。剣道部以外にも、助っ人を頼まれるとそちらに出張しに行ったりしながら、時間を潰していた。部活を終えて、しおりと手を繋いで彼女を家まで送って行く。 「俺汗臭くない?大丈夫?」 「うん、大丈夫。剣道部の防具ってすっごく臭いって聞いたけど…」 「ヤバイよ。めっちゃくちゃ臭い…。最初もうとてもじゃないけど、被れなくて家から洗剤とブラシ持ってきて洗って、ファ●リーズかけまくってようやく被れるようになったよ」 一応自分用の防具を揃えることになっていて、そろそろ揃えなくてはいけないのだが、すっかり忘れていた。他愛ない会話をしながら、無事家まで送り届け、休日にデートの約束をして来た道を引き返す。 そして迎えた休日。 同年代受けする服装など思い付かず、結局店に行く格好と同じ系統の、今でいうモード系ファッションに身を包み、しおりを迎えに行く。家の前に着いてから、電話をすると数分後にオシャレをしたしおりが出てくる。やはり普段制服とジャージを見慣れているせいか、私服は新鮮だ。 「すっごい似合ってる。普段制服とジャージしか見ないから、私服だと新鮮でなんか変な感じ」 「よかったあ……。これ、一番お気に入りのやつなんだ。すっごく可愛くって、思わず一目惚れしちゃって」

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