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中学編~第四話
そう語る彼女は純粋に可愛いと思った。それでいて、自分が本気になれないのだということも悟る。
二人が待ち合わせたのは、お昼近くだった。時間も時間だったので、雅やんオススメのカフェへと向かう。なんでも、雅やんの知り合いが経営しているお店らしい。
店内は前世紀のヨーロッパ貴族の一室のような感じで、アンティーク家具や小物が品良く並んでいた。カウンターの向こうにはたくさんの種類のお酒が並んでおり、夜はバーになるのかもしれない。
人気店なのか、席はほぼ満席だった。『オレの名前出せば、入れるようにしといてやるよ』とのことだったので、カウンターの中にいた、この店の店主らしき男性に声をかける。
「あの…すみません、雅樹の紹介で来たんですけど…」
雅樹の名前を聞いた途端、店主が満面の笑みを浮かべながらこちらに小走りでかけてくる。この感じはもしかして……。
「あんらーっ!いらっしゃーい、待ってたわぁ。あなたが葵ちゃん?私、ここの店主のノブって言うの。ノブママって呼んでちょーだい。そんなことより…聞いてたより全然可愛いじゃなーい。あら、そちらの可愛いお嬢さんがあなたの彼女?んまー…素敵だわぁ!」
思ったとおりだった。所謂〝オカマ〟と呼ばれる人たち。葵は雅やんの店で見たことが、あったがしおりは初めてだったのか完全に気圧されている。
そんなしおりの様子に、ノブママも気付いたのか、『あらぁ、ごめんなさいね。びっくりさせちゃったかしら?』と気を悪くした様子もなく、謝って二人を席に案内してくれた。
二人が案内されたのは、店内の半地下窓際の席だった。そこは、地上から日の光が降り注ぎながらも半分地下なのを利用して、窓際沿いに造られた曲線状の水槽があり、そこには色とりどりの熱帯魚が優雅に泳ぎ回っていた。
「わぁー…すごい…綺麗」
「食事しながら、ちょっとした水族館に来てるみたいだ……」
二人でしばらく泳ぐ魚たちに見惚れる。
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