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中学編~第六話
そして試合当日。
大会会場である体育館には、すでに大勢の選手やお客さんが入っていた。葵の彼女も、先週の大会に惜しくも敗れてしまい、時間が空いたとかでこの大会を見に来ているらしい。とはいえ、今まで練習にも顔を出さずにいた葵の付け焼き刃の腕がどこまで通用するかは分からないが、ここまで来てしまった以上やるしかない。
葵以外の部員は前大会に出ていて、他の学校に何かしらデータを取られている。それに比べて、葵は無名。試合をひっくり返す、起爆剤になることは間違いない。
そしてこのタイミングで、一年の部員が一人インフルエンザにかかりダウン。代打の選手は、最近不調が続いている選手だった。葵は一年生ながら、大将として試合のアンカーを任されていた。
試合は勝ち抜き戦。葵の番が回って来るまでに試合が終わればそれに越したことはないのだが、先輩の怪我や同級生の病欠などが響いたのか、負け戦。ここまでで既に4人抜かれている。
次の大会に進むには自分の対戦相手を含めて、せめてあと3人は抜かないと厳しい。そして相手は、過去に大会連覇も成し遂げている強豪校だった。
名前を呼ばれて、場内へ上がる。会場のモチベーションは、うちではなく相手校に傾いている。
竹刀を握り相手と対峙する。相手の隙を探り打ち込む。
前読んだ本に『武士の刀とは己の志そのものであり、剣術の腕は己の弱さを映す』と、書いてあった。
ここまでで順調に4人抜き。試合の流れは、一気に葵たちの学校だ。
「俺は武人でもないし、正直この試合もどうでもいいんだけどさ、人一倍負けず嫌いだとは思うんだよね」
「……っだからなんだ!」
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