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第1話
俺にはセフレがいる。
それは俺にとって面倒臭くない、都合の良い人たちで、女は勿論、男とも体の関係を持っていた。
浅羽組という極道の元で働いている俺、赤石真守(アカイシマモル)は幹部という割と高い位置で毎日を過ごす。
幹部にはリーダー的存在の早河大和(ハヤカワヤマト)に、俺の大好きなみっちゃん、もとい黒沼命(クロヌマミコト)。一緒にバカやる中尾庵(ナカオイオリ)に世話焼きな八田光(ヤタヒカル)。
みっちゃんは大好きで、一度寝たことがあるけれど、みっちゃんにはもう大切な人がいて、俺には振り向いてくれなかった。
今日はすごくむしゃくしゃする事があって夜の繁華街を1人プラプラと歩く。少し肌寒い気温。
それに最近はセフレがいながらも誰とも寝ていなくて心も少しだけ寒い。
そんな時、目の前を凛とした姿で歩く一人の強面の男が居た。何だか雰囲気が早河に似ていて、けれど何故だろう、そいつに惹き込まれて、思わず声をかけた。
「ねえ」
声をかけるのと一緒に彼の服の袖を掴む。
「···あ?」
「暇、してない?」
「············」
「初対面で、こんなこと言うのアレだけど、俺のこと抱いてくんないかなぁ?」
こいつと少しだけ同じ時間を過ごしたい。だからとりあえず体を差し出そうとお願い、と薄く笑ってみせる。するとガシリ腕を掴まれ近くの薄暗い裏道に連れ込まれた。
「え、な、ここでする気?」
「違う」
「じゃあ何?」
「今は時間がない、連絡先教えろ」
「···また会ってくれるの?」
「ああ。だからさっさと教えろ」
変な展開だけれど、あんたにまた会えるならいいや、と連絡先を交換した。
「桜樹燈人(サクラギトウリ)?」
「ああ。お前は赤石真守な、覚えた。」
「連絡、してきてよ」
「わかってる」
耳元で低い声でそう言われて腰に響いた。去っていった彼をボーッと見つめて携帯を握りしめる。
早く連絡がこないかなとその日から携帯から目を離すことはなかった。
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