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第117話
何でこんな気持ちでいるのか。
何をどうしたいのか、全くわからない。
自分のことなのに全然。
「あー···くそっ!」
腹が立ってソファーを蹴った。
鈍い音がしてソファーが動く。そのままそこに立ち尽くしていると寝室のドアがゆっくり開いて燈人が顔を出した。
「なんだよ、うるせえ」
「···何でもない、ちょっと出てくる」
「どこ行くんだ」
時間はもう0時を回ってる。だからこんな遅くに···と燈人は心配してくれてるのにそれが今は鬱陶しく思えて無視して家を出た。
ドン、と細い暗い道を歩いていたら誰かにぶつかった。あんまりそれに気にせず足を進めてると肩をがしりと掴まれる。
「お兄さん、痛いんだけど」
俺より年下かな。
肩を掴んでくるやつは周りに仲間を数人連れていた。
「················」
「何無視してくれてるんスか、それともビビってる?」
「うるせえなクソガキ」
「ああ゛!?」
ヘラヘラ笑ってたガキ共の顔が途端変わる。
イラついているのが目に見えてわかって面白い。
「今なんつったよおっさん」
「だから、クソガキって言ったんだよ。」
おっさんって言われたのが気にくわない。
だってまだ俺20代前半だよ。
すぐに拳が飛んできてそれを軽く躱す。
一応極道の幹部なわけだから喧嘩はできるし、それなりに強いと思う。
それを知らないガキ共は次々に俺に殴りかかってきては逆に俺に殴られて地面に転がった。それにくくっと笑って蹲る男を弱い力で蹴る。
「憂さ晴らしにもなんねえな」
コキ、って肩を鳴らして足元に転がる1人の男の背中に座る。タバコを取り出して口に咥え火をつけると少しだけ気持ちが落ち着いた。
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