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「何か原因を突き止められたのか?」 前に受けた講義の復習をしている時、黄丹が声を掛けてきた。 「特には。玄一の方はどう?」 「俺も大したことは見つからなかった。強いて言えば、若干動物の生態が詳しくなったぐらいだな」 「そうなんだ⋯⋯」 ただ何ともないような返事をしようとしただけなのに、実際に出してしまったのは、落ち込んでいるような声音だった。 自分でそれに驚いていると、不意に頭を撫でられた。 「なっ、なに!?」 「慰めてるんだよ。ほら、よしよし」 わしゃわしゃと、髪を掻き乱すように撫でられ、「わっ、ちょっと、やめてよ!」と黄丹の手を叩いた。 「なんだよ、嬉しくねーのかよ」 「嬉しいも何も、あまりにも雑すぎるって! うわー、髪が乱れたー!」 「もー! 何すんだし!」と文句垂れながら、整えようとした時、両手で整えるように撫でられた。 「今度は何?」 「いやぁ? あんまりにも騒いでいるから、直してやってんだよ。ほら、これでいいだろ、よーしよし」 藤田の入る余地がないぐらい丁寧にやってくれて、そのうちそれが心地よいとされるがままになっていた。 「急に黙り込んでどうした?」 「⋯⋯え、いや、別に⋯⋯」 素直に言うのがなんだか照れくさく、適当にはぐらかそうと、「そろそろ講義の時間じゃない?」と言った。 「あ? あー⋯⋯、まだ余裕があるちゃあるけど、行った方がいいか」 すぐに手が離れ、荷物をバッグに入れていた。 呆気なく離れたのが寂しく感じ、名残惜しそうに黄丹の手を見つめていた。 「なにしてんの? さっさと行くぞ」 「あ、うん」 テーブルに置いていたリュックサックを背負って、当たり前に黄丹の隣に行った。

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