25 / 47

25.

「⋯⋯玄一は、僕のこと⋯⋯好きなの」 声を振り絞るように言う。 「好き⋯⋯? あー⋯⋯そうか」 泣きそうになるのを堪えていると、背後で妙に納得している声が聞こえた。 「そうだな。志朗のことを友達としては好きだが、恋愛としては⋯⋯どうだろ。そうか、言われて気づいたわ。今度はその気持ちの変化で──」 「──もういい」 痙攣している体を無理やり起こした。 「この実験は今日で終わり」 「なんで? 志朗、今のところ何にも解決してないぜ」 「今もそうだけど、そんな気持ちでいる相手に抱かれたくない」 「えっ、待てよ」 ズボンを履き直し、さっさと黄丹から離れようとすると呼び止める声が聞こえた。 「は? お前はそれでいいのかよ。一時でも男のことを好きな気持ちでいるんだぜ」 「一時でもなんでも、せめて好きな気持ちで抱かれたいよ!」 「⋯⋯へ?」 黄丹にぶつけるかのように言う時、彼と目が合った。 眉間に皺を寄せ、頬を引きつらせていた。 ズキリ。 心臓を直に鷲掴みされたかのような激痛が走る。 見てられない。 なんてことを言ってしまったんだ。 「あっ、おい! 志朗!」 その声で名前を呼ばれるのも嫌になるから。 現実から目を逸らすかのようにその場から逃げ去った。

ともだちにシェアしよう!