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「⋯⋯は、はぁ⋯⋯、い⋯⋯っ」 「痛いか? いや、痛いよな。けど、この調子でいけば、ちゃんと出てくるからな。頑張れよ」 「⋯⋯ふ、う⋯⋯っん⋯⋯」 涙で視界が悪くなっていく。けれども、黄丹の優しい声がより鮮明に聞こえてきて、ほんの少しでも痛みが和らいだ気がした。 「んッ⋯⋯ふ、うっ、ん⋯⋯」 「少しずつ出てきてるぞ! そのまま腹に力を入れろ」 「は、はっ、う⋯⋯ふ⋯⋯っ」 「いいぞいいぞ、いい感じに出てきてる。大丈夫だ、頑張れ」 「う⋯⋯っ、うぅ⋯⋯ッ!」 痛みと気持ちよさがせめぎ合うようにやってきて、わけが分からなくなりそうにながらも、黄丹の言葉に導かれ、産むことにどうにか集中しようとする。 「ふ、ぅ⋯⋯ん、う⋯⋯っ」 「半分ほど出てるぞっ! あと半分頑張れば、腹がいてぇの治まるからな」 「⋯ん、うぅ⋯⋯」 そう、卵の半分を越えれば、あとは楽な方だ。 あと少し頑張れば、この痛みから解放される。 だから。 「⋯⋯げん、い⋯⋯っ」 「なんだ? どうした?」 「⋯⋯てぇ、⋯⋯にぎ、⋯⋯っ」 「て? 手を、どうするんだ⋯⋯──っ!」 投げ出していた手を、必死の思いで黄丹の手を取る。 「⋯⋯て、にぃぎ、って⋯⋯んっ!」 「志朗っ!」 黄丹の手を思わず強く握ってしまうほどの急な強い痛みが現れた。 それは今、そろそろ外へと吐き出される卵と同じ物が下っていっているようだ。 何、いきなり。身体の中で何が起きているの。 「⋯⋯っ、こ⋯⋯わ⋯⋯ぁ、ふ⋯⋯っ!」 半分ほど出ていた卵が産めたようで、孔をヒクつかせていたものの、次の痛みが訪れてしまった。

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