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40.※産卵

──が。 「は⋯⋯っ、ぁ⋯⋯はぁ⋯⋯っ!」 少し力を加えただけで、すんなりと出てくれたらしく、死にそうになるほどの痛みは消えた。 「⋯⋯げ⋯⋯いち⋯⋯」 痛いぐらい強く握っちゃって、ごめんね。 息が上がってしまい、上手く言葉にならない代わりに優しく握った。 ところが、黄丹の目が向く先は、藤田の足の間だったため、それに気づく様子はなかった。 今までにないぐらいの量を産んだ自覚があるから、黄丹はそれに驚いているのだろう。表情からそれが伺える。 玄一、とまた呼ぼうとした時、おもむろに口を開いた。 「⋯⋯マジで、何なんだろうな。急にこんな⋯⋯いや、仮説はあるが、ありえるのか⋯⋯?」 藤田に向けた言葉ではなかったようだ。1人で何やらブツブツと言っていた。 何を独り言を言っているのだろうか。それよりも、気づいて欲しい。 さっきよりもやや強めに握ると、弾かれたかのように黄丹はこっちに向いた。 「志朗。もう、痛くはないのか?」 「ん⋯⋯もう、大丈夫」 「そうか。今のところ、今回が一番に産んだな」 「?」 ふわふわとする頭で考えてはみるものの、すぐに理解が出来ず、不思議そうな顔をしていると、黄丹は言った。 「一個、二個⋯⋯合計で六個だな。最後はびっくりしたぜ、三個が続けざまに出てきたんだからさ。あれじゃあ、相当痛かったんじゃねーの?」 「さん、こ⋯⋯?」 「そう。けど、その前に産んだ卵より少し小さかったのが、せめての救いか? それに、志朗⋯⋯」 何故か言い淀む黄丹に、どうしたものかと思っていると、彼は口を開いた。 「⋯⋯気持ち、良かった⋯⋯のか?」 彼らしくもない控えめに言う声量に、何を言ったのかと思っていたが、少しずつ理解した。 そう、確かに腰がガクガクと震わすほどに、白い液がお漏らしするかのように垂らすほどに。 「⋯⋯きもち、いい⋯⋯」

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