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41.
朱に染まった頬をだらしなく緩めてそう言った。
黄丹が目を見張ったのも一瞬で、「そうか」と言ってきた。
「とにかく、腹痛が治まったのは何よりだ。まだ熱があるんだろう? 俺が卵やらなんやら片付けておくから、寝ておけ」
「うん⋯⋯」
その瞬間、疲れが一気に押し寄せてきたようで、瞼が重くなってくる。
黄丹がせっせと片付け、微睡んでいる中、寝言のように呟いた。
「⋯⋯ありがと。好き⋯⋯」
次に目を覚ました時は、部屋は夕暮れ色に染まっていた。
結構寝てしまったんだなと、ぼんやりと見つめていると、声をかけられた。
ゆっくりと顔を向けると、黄丹がこちらに歩んできていたところだった。
夕日に照らされた彼の顔が、いつもと違ったように見えて、熱に浮かされているのもあり、ぼうっと見つめていた。
「⋯⋯まだ、いたの」
「まぁ⋯⋯な。志朗のことが心配だし。今から帰っても同じだし」
「⋯⋯そう」
寝る前と同じようにベッドそばに座り込んだ。
が、どことなく気になる。
それは、何だか落ち着かない様子であったからだ。
「何か用事があるのなら、帰っても大丈夫だよ」と声を掛けたが、「いや」と返してきた。
その言葉の続きを何か言うのかと思ったが、そうでもない。
何なのだろうか。
特に他に言うことはないと思い、黄丹のことを見ていると、目を合わせない彼の口が、意を決したかのように開いた。
「⋯⋯あの、さ。お前って、俺のこと好きなの?」
「⋯⋯え」
いきなり何を言い出すのか。熱のせいで働かない頭でも、はっきりと理解した。
「何、いきなり」
「いや、お前が寝る間際、礼を言うついでに言ったもんだから、そうなのかと」
寝る間際? 自分が何を口走ったのか。
言われてみれば、うとうととしている時、何か言ったような気もするし、気もしないような。
しかし、言ったと仮定として、そんなことを言ってしまうだなんて。
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