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46.
「つーかまえたっ!」
テーブル席に着くや否や、後ろから抱きしめられる。
心臓が飛び出るかと思った。
「えっ、え? いきなり、何? 玄一どうしたの?」
「⋯⋯好きだぜ、志朗」
耳元に囁かれた甘い声。またも不意を突かれた驚きもあるが、溶けてしまいそうなぐらい身体が熱くなった。
「げ、玄一⋯⋯っ! 人前でそんな恥ずかしいって!」
「そんな恥ずかしいって思うほど、人なんていないぜ」
ほら、見てみと言われるがままに周りを見てみると、たしかに数組のカップルと小さな子どもを連れた親ぐらいしかいなさそうだった。
「熱の時、お前が恋人なんて夢だと言うもんだから、こうやって分からせているのにさ」
離れた黄丹が、そばにあった椅子に座り、腕を組んで、半ばふざけ気味に不貞腐れているように見せかける。
そんなことを言ったような言ってないような気もした藤田は、いつまでもこの話題をしたくないと思い、話を切り替えた。
「⋯⋯それにしても、平日とは言っても、全然人がいないね」
「まぁな、穴場中の穴場の遊園地だしな」
黄丹が提案してきた時、遊園地の名前を早速調べてみたが、「こじんまりとしていて、並ばずに済むのがいい」「ミニチュア的な広さ。乗り物は少ない」とクチコミに書かれていた。
「どうしてこんな所を?」
「そりゃあ、今みたいに人目を気にするヤツがいるから、なるべく人がいなさそうな所を選んだんだよ」
何となく分かっていたが、改めて黄丹の口から言われると、自分のためにそこまで選んでくれたと思うと、嬉しくてたまらなくなる。
だから。
「ありがとう」
「今日は、素直に言ってくれるじゃーねの。これも恋人効果か?」
冗談めかして言う黄丹であったが、ほんのりと頬を赤くしているのを、藤田は逃さなかった。
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