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45.
集合場所の遊園地前に足早と向かうと、携帯端末を弄る彼の姿が見えた。
私服が当たり前な大学では、毎日のように黄丹の服を見てきたが、見たことがない服装であることに気づく。
この日のためにわざわざ新しいのを買ってきたんだな。
そう気づいた瞬間、彼がより一層素敵に目に映るのだから、やっぱり浮かれていると自分に呆れてくる。
「遅れてごめん!」
駆け寄ると、その声に気づいて黄丹は顔を上げる。
「待ち合わせまであと五分もあるぜ。ま、時間前に来るのがお前らしいけど」
いつも見てきた笑みでさえも眩しく見え、目を細めた。
「あ、志朗の持ってるそれ、作ってきてくれたんか!」
手提げ袋を指差す黄丹に、「ああ、これ」と上げる。
「玄一のリクエスト通り、作ってきたよ。ちょっとはりきりすぎちゃったけど」
「マジ?! じゃ、早速食おうぜ!」
「え、まだ来たばっかじゃん。乗ってからにしない?」
「志朗の玉子焼き、めちゃくちゃ待ち侘びてたんだよ! 食わしてくれ!」
「えー? 全く、仕方ないな」
呆れてしまうが、黄丹のバンザイをしてまで喜ぶ姿を見て、つい許してあげたくなるなと思いつつ、黄丹と共に中へと入って行った。
「てか、そこまで言うなら、高校の時みたいに毎日作ってきてあげようか?」
「おう! それもそれでいいな! で、あーんをしてくれよな!」
「それとこれは別」
「なんだよー、まだ照れているのかよ」
「玄一のクセに調子に乗らないでってこと」
「俺のクセにってなんだし!」
食事が取れそうな場所を見つけたこともあり、駆け出していくと、後ろから黄丹もふざけた調子で追いかけてくる。
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