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第16話 クリスマス(優の火傷)
いよいよ、クリスマスだ。夕方までゆっくり過ごし早めにお風呂に入った。夜は少しだけ雰囲気を出すために近くの100円ショップで買ったキャンドルを置き二人の時間を過ごす。
「はー。外は寒いのに僕はこんなあったかくて幸せでいいのかな?」
「ククっ幸せ?」
「うん…何だかとても幸せ」
「俺も幸せ」
見つめ合ってキス…また見つめて抱き合う。
「来年も再来年もその先もずっと一緒に過ごせたらいいな…」
「あぁ、そうだな…」
優の態度が少し落ち着かない感じがする…ソワソワしてる。いつも以上に喋らない。なんか言いたいのかな…
「優?」
「ん?」
「どうかした?」
「何が?」
「僕たちはさ、遠距離で明日にはまた離れ離れになっちゃうんだよ?」
そっと、優の手を取って自分の頬に触れさせる。僕は何があってもここにいる…優の心にいると伝わるように…
「………」
「どんなことでも言葉にして欲しい…優のこと分かりたいから…何もなければそれでいいんだよ。だけど、今は何かあるでしょ?」
「……。」
追い詰めるつもりはない…言いたくないこともあるだろ…一旦、離れて水を飲む。
後ろから、抱きしめてくる。優が辛そうに感じる…
抱きしめられた腕を優しく撫でる。
「……亮太としたい…。」
「…うん…僕も優としたい」
「でも…」
「…うん」
背中の火傷を見せるのが怖いのだろう…
「無理して見せなくてもいいよ?」
「それじゃっ、ずっと本当には繋がれない…この火傷ごと亮太に受け入れて欲しい…だけど…見た時の亮太の顔を見るのが怖い…」
「……ねぇ、その。見た時の僕を必ず見たい?」
「…?」
「これ、リボン。嫌じゃなければだけど、見えないように目隠ししようか…」
何を話すにも、とにかく優しく声をかける。
「いや、でも…」
「僕を信じて…」
黙ったまま頷く優。そっと目隠しをする。
「じゃあ、僕が脱がすよ?」
「……。」
ゆっくりシャツを脱がしていく。
「……」
「……」
「っっ…、、うっ」
覚悟はしていた。でも、それ以上に酷く痛々しい火傷だった…見た瞬間、心が痛んだ。涙が出てくる。
「…やっぱり、気持ち悪いだろ…?」
急に動き出す優を後ろから抱きしめて制した。
「ちっちがう!」
「嘘だ!」
「優!ごめんっ違うから!動かないで…お願い…お願いだから…」
「……」
黙ったまま、動かずにいてくれる優の背中をもう一度見る。小さい頃の優にこんな火傷…っ、痛かったよね…
どんなに辛かっただろうか…お母さんからの仕打ちに、どんなに悲しかっただろうか…涙が溢れて止まらなかった。
「優…辛かったよね?…痛かったよね?…チュッ」
優がこれ以上傷つかないように優しく火傷にキスをする。気持ち悪くなんてない。この火傷ごと全部愛しいと伝わるように何度もキスをする。
チュッ、、チュッ
ゆっくり優の前に行き目隠しを取る。優も涙でグッショリだった。二人して涙を流していたけれど、しっかり優の目を見て言った。
「優。愛してる」
「亮太…」
二人抱きしめ合う。
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