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第3話
――以後。
僕は盗賊ギルドには話をつけて、もう仕事を引き受けない事にした。周囲は、『どうせすぐに戻ってくるさ』と笑っていたけれど、今のところ僕は、関係者とは接触していない。
代わりに、毎日エフェルの隣にいる。
なんとこれまで固定のパーティを組む事が無かったエフェルが、僕とパーティを組むと宣言したからだ。これはちょっとした騒ぎになった。当初僕は、監視だろうかとすら思っていたけれど、今のところ本当に捕まる気配はない。
ランクは違えど、剣士と魔術師のパーティは定番であるから、その二名がいるパーティを募集している依頼は多い。僕はエフェルに連れられて、少し難易度が高い依頼をこなすようになった。
宿の部屋も、二人で同じ部屋に移動した。少し大きなセミダブルのベッドに、いつも二人で横になっている。
本日も二人で魔獣を倒してきた帰りだ。先に魔導シャワーを浴びた僕は、寝台に座っていた。すると魔導シャワーから出てきたエフェルが上半身裸の姿で、こちらへ歩み寄ってきた。よく引き締まった体躯をしていて、大柄だ。
「好きだ、ナジェ」
最近のエフェルは、僕に惜しみない愛の言葉を注いでくれる。僕は考えてみると、誰かに愛された経験がないから、いちいち照れてしまう。
「ナジェは?」
「ぼ、僕も……そ、その……す、好きだよ」
「知ってる。その顔を見れば分かる」
エフェルはそう言うと、僕を寝台へと縫い付けた。両手首を軽く握られて押し倒された僕が唾液を嚥下していると、僕の首の筋を舌でなぞってから、エフェルが僕の鎖骨の少し上に口づけた。ツキンと痛んで、そこにキスマークをつけられた事を理解する。
「ぁ……」
僕の右胸の突起を手で転がしながら、エフェルは左手で僕の服を乱し、陰茎に触れた。すぐに僕の陰茎は反応を見せ、緩く握られ扱かれると、先走りの液が零れ始める。それに気づいた頃には、すっかり脱がせられていた。
「あ、っン」
エフェルが僕の陰茎を口に含む。そしてねっとりと口淫を始めた。右手では僕の後孔を解し始める。二本の指で前立腺を刺激しながら、口で陰茎を刺激されていると、すぐに僕の体はぐずぐずになり始めた。我ながらとろんとした瞳で、エフェルを見てしまっているのが分かる。
「ゃ……あン……早く……」
思わず僕が求めると、獰猛な瞳をしたエフェルが指を引き抜き、巨大な屹立した先端を僕の菊門へとあてがった。そしてぐっと挿入してくる。
「あ、あ、ああっ」
ほとんど毎日繋がるようになってからは、僕はこの挿入の衝撃にも慣れ始めた。
思わずエフェルの体にしがみつきながら、僕は太く長い陰茎を受け入れる。最近僕の中はだいぶエフェルに馴染み、その形を覚え込まされている。縦割れになってしまった後孔の入口は、エフェルしか受け入れないと意思表示しているみたいだ。
「あ、動いてっ、ッ」
根元まで挿入したところで動きを止められて、僕は泣きながら喘ぐ。
すると僕の求めに応じて、エフェルが動き始めた。緩急つけたその動きに、すぐに僕の理性は曖昧になっていく。
「んア――っ、は」
「絡みついてくる」
「や、あ……恥ずかしい、言わないで」
「好きだ、ナジェ」
「僕も好き……ああああ!」
反射的に僕が答えると、エフェルの動きが荒々しく変わった。そのまま僕らは獣のように交わり、その夜僕は何度も何度もエフェルの白液を内部に受け入れた。
事後。
僕は目を覚ますと、エフェルに抱き寄せられるように腕枕をされていた。僕がぼんやりとしていると、微笑しているエフェルが、僕の髪を撫でた。同じ部屋だから、いつも行為後もそばにいる。
「今日も可愛かった」
「……」
その言葉に僕は覚醒し、照れた。恋人同士になってからのエフェルは兎に角甘い。
「今日も明日も明後日も、ずっと俺の隣にいて欲しい」
「エフェル……僕もそばにいたい」
思わず僕は、エフェルの体に隣から抱き着いた。すると僕の体をより強く抱きよせて、エフェルは僕の額にキスをした。その柔らかな感触までもが愛おしい。
このようにして、僕とエフェルは結ばれた。
エフェルと共に活動する内に、僕はたまに窮地になると、盗賊技能も駆使して依頼をこなすようになった。表向きは魔術師としてしか登録していない僕だけれど、その後、中衛も可能だと認識するように変わり、依頼達成率とその技能のおかげで――なんと、冒険者ランクがA、そしてS+へと変化した。エフェルの隣で僕は、エフェルの隣に並ぶに相応しいランクを得る事が叶ったのである。
今では、ジョーカーとしてでなく、『ナジェ』として、僕は冒険者として認められつつある。毎日が充実していて、本当にこんな幸せを僕が得てもよかったのか不安になるほどだ。それでも今は、僕は、僕自身の意思でエフェルのそばにいたいし、もうエフェルの事も心から信じられるように変わった。
だから、全世界の人に告げたい。生い立ちで諦める事は無い。愛する人に出会えば、世界には光が満ちるのだと。僕にとっては、最高のハッピーエンドを、エフェルはもたらしてくれた。僕はそんなエフェルを愛している。毎日が、本当に、幸せだ。
―― 了 ――
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