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第4話 盆の最中

 ばあちゃんはしょう兄ちゃんとオレで、田舎の家に連れて帰った。  顔見せというか、見舞いだけなのかと思ったら、盆の一時帰宅の迎えだとか思わないじゃん。  ばあちゃんも一緒に車に乗り込むことになって、オレ、めっちゃ焦ったからね。  絶対、しょう兄ちゃんはオレを驚かせることに楽しみを見出してるんだ。  子どものころから、そうだった。  悪いことばっかりじゃないのが、悔しいというか、しょう兄ちゃんめえええ! ってなり切れないところ。  で。  盆の間は、確かに忙しかった。  忙しいっていうか、気忙しかった。  オレより年下のいとこもいてその相手もしなきゃだし、年上のいとこには子ども連れてきてる奴もいて、何故かオレに子守りが回ってくる。  いとこはわかっても、その子どもになると、どれがどこの子かさっぱりわからん。  おじさんやおばさんたちも来るわけで、「あらまあ」「大きくなったわねえ」の応酬だ。  うちはといえば、昔からだけど父は仕事で、母だけが来る。  で、母親はすっかりおじさん伯母さんたちに囲まれて、馴染みまくって娘状態。  子どものころはわからなかったけど、今なら、わかる。  父親、このせいで尚更居心地が悪くて、仕事理由に一緒に来ないようにしていたんだろうなあ。  ドタバタしながら、盆の行事をこなす。  こういうのも粛々とっていっていいのかなってくらい、実情はだいぶんドタバタなんだけど。  盆ってこんなだったっけ? ってなってるんだけど。  寺の本堂でお参りしたりとか、家の仏間で経を読んでもらったりとか。  後、今回は本家の裏山にある墓を寺の共同墓地に引っ越すとかで、墓場二か所を往ったり来たりさせられた。  くっそ暑かった。  その合間にだって、人が多い分、色々とあるわけだよ。  移動中にばあちゃんが消えたり、子どもが泣いたり、読経中に木魚に合わせて踊りだす子がいたり、仕出しの膳の手配だとか、順番に食べるはずがごっちゃになったりとか。  もう、いつもの仕事の方が楽なんですけど……って、オレはげっそりになってた。  気を付けてないとふらりと散歩に行くばあちゃんは、とても機嫌がよさそう。  坊さんがそんなばあちゃんの横で「いい景色ですねえ」って、言ってた。  景色って何。  全然よくないから。  オレは、マジで、大変だから。  一緒に忙しいって言ってたはずのしょう兄ちゃんは、時々どっかに電話してた。  それからいとこたちにつかまってたり、おじさんたちにつかまってたりして、割とずっと酔っぱらってた。  ……。  うん。  兄ちゃん、お疲れ。  そう思って、座敷で行き倒れているしょう兄ちゃんに夏蒲団かけてやろうとしたら、捕獲されて身動き取れなくなる事件もあったけどな!  親戚一同腹抱えて笑っていて、誰も助けてくれなかったから、そのまましょう兄ちゃんと同じ蒲団でふて寝したけどな!  なんだその仕打ち!

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