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きまぐれ 3

「耳、やっぱ弱いんだな。さっきはあんなにカッコ良かったのに……」 圭斗の声が微かに熱を帯びた。自然と逃げようとする身体を抱き留められ、半ば強引に股の間に座らされ後ろから抱き締められた。 熱く濡れた舌が耳の中を蹂躙し、耳殻を食まれて、怜旺は堪らず圭斗の腕の中で身悶える。 くちゅくちゅと耳の中で直接卑猥な水音が響くのがいやらしくて堪らない。 「ふっ……んぅ……ぁっ……」 圭斗は怜旺の耳を甘噛みしながら、彼の胸元に手を伸ばすとシャツ越しに乳首を探り当て、爪先でカリカリと軽く引っかかれる。 「ぁ……っは……っ、や、やめ……っ」 服の上から弄られているだけなのに、そこから甘い痺れが広がり下腹部が疼いて仕方がない。 「口で言ってる事と、やってる事が違うんじゃねぇの? 本当は止めて欲しくないんだろ?」 「ぁ……ぁ……ち、ちがっ。く、くすぐったい、だけだ……ぁあっ」 怜旺は必死に首を振り、圭斗の手を払い除けようと試みるが、力が入らず意味を成さない。 「ふぅん? くすぐったいだけ……、ねぇ?」 圭斗は面白そうに笑みを深めると、胸の飾りをギュッと強めに摘まんだ。そうかと思えば羽のようなタッチでくるくると周囲をなぞり、焦らすように触れるか触れないかのギリギリの距離で突起の先端を掠める。 「あ、……っ、んん……っ」 もどかしい刺激にじわじわと蓄積していく快感が辛くて、鼻から抜けるような甘ったるい声が漏れる。その反応に気を良くしたのか、今度は露わになっている首筋に舌を這わせる。首筋から鎖骨にかけてねっとりと舐められ、時折強く吸い上げられ赤い花が散っていく。 「はは、エッロ……すげぇ興奮するわ」 熱を帯びた声色と首筋にかかる熱い吐息が酷く官能的で、圭斗が自分に性的な欲求を抱いている事を突き付けられているようで、怜旺は更に体温が上がった気がした。 「……っ、馬鹿。何考えてんだ……っさっき、やらねぇって言ってたくせにっ!」 「俺も最初はそのつもりだったんだけどな。アンタ見てたらなんかムラムラして来ちまった。エロすぎてもう我慢できねぇよ。勃ってきちまったし、1発ヤらせろよ」 何と言う自分勝手な奴なんだ。ムードの欠片もない誘い方に呆れてしまう。

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