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確かめたい 6

「あら、やだわ〜。見せ付けてくれちゃって。まだ宵の口なのに」 「はぁっ!?……違いますからっ! 変な事言わないで下さい!」 「そう? でも怜旺君凄く嬉しそうよ? こんなイケメン君掴まえて来るなんて……おばちゃんもひと安心だわ」 「だーかーらー違うんですってば! あぁ、もうっ……」 おばちゃんがニヨニヨと意味深な笑みを浮かべているのを見るだけで居た堪れない気持ちになる。 「ブハっ、ウケる」 「笑うな! クソッ」 半ば強引に籠をひったくり、おばちゃんの視線から逃げるようにしてレジへと向かった。おばちゃんのニヤニヤとした視線に気付かない振りをしながら支払いを済ませると、足早に店を出る。 「ったく、お前のせいで変な誤解されちまっただろうが!」 「俺のせいじゃ無くね? アンタがやらしー目で俺を見てたからだろ」 「見てねぇよ!それはお前だろうが!」 思わずそう叫ぶと、圭斗はくつくつと喉の奥で笑う。怜旺だって本気で怒っているわけではない。 それがわかっているから圭斗も態とらしく煽るような事ばかり言ってくるのだろう。 怜旺はため息を吐きだすと、駐輪場を通り過ぎて外に備え付けてあるベンチへと腰を降ろした。 「……さっきの……なにも聞かないんだな」 「ん?」 暫くの間お互いに無言のままだったが、思いの外穏やかな風が心地よかったからか自然と口を開く気になった。 「昔の俺が、お前に似てるとか何とかっつー話」 「あぁ。……まぁ、薄々そうじゃねぇかと思ってたし」 「……そ、そうか」 胸ポケットから煙草を取り出し、愛用のジッポで火を点けようとするので、すかさず煙草を奪って握りつぶした。 「あっ、てめっ」 「あのなぁ、教師の目の前で煙草なんて堂々と吸うんじゃねぇよ」 不機嫌そうに顔を歪める圭斗に、呆れた表情を浮かべる怜旺。 「教師のクセにデリヘルやってるアンタに言われたくねぇな」 鼻で笑いながら、そう返す圭斗にぐうの音も出ない。 「うっせ! 今、それは関係ねぇだろうが!」 「……なんで、辞めねぇんだよ」 「……」 その質問に怜旺は答えない。否、答えられる訳がない。 こんな誰が聞いているかわからない場所では答えたくないと言うのが本音だ。 怜旺は立ち上がると、愛車の鍵を圭斗に投げて寄越した、 「椎堂。もう少しだけ付き合え」 「はぁ!? 答えになってねぇだろ!」 「いいから!」 有無を言わさぬ強い口調で言い切り、怜旺は愛車を圭斗に任せて自分は買い物袋を提げて歩き出す。 「着いて来い。すぐ近くだから」 「……」 圭斗の返事を聞く前に怜旺はさっさと歩き出した。釈然としないと言った様子で、それでもバイクを押して黙ってついて来てくれる圭斗に背中がむず痒い感じを覚えたが、今は無視を決め込んだ。

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