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ドキドキ文化祭 10

「……これ」 「ん? 何だ」 空けてみろと言わんばかりの無言の圧が凄くて、仕方なくそれを受け取る。言われるがままに紙袋を開けると中にはブレスレットが2つ入っていた。 「え? ……これ」 「さっき見てただろ。アンタに似合いそうだなって思って……」 面倒くさそうに頭をガシガシと掻きながらぶっきらぼうに一つひったくると、怜旺の腕を引いて左手にブレスレットを通した。 「うん、似合う」 満足そうに笑みを浮かべて頷いて、もう一つを自分の右腕に腕に通してニッと笑みを向けて来る。 「……え?」 「ほら、これでお揃いだな」 得意げな顔をして笑う圭斗に、じわじわ顔が赤くなるのを感じる。 なんだか、凄く擽ったい。嬉しいと言うか、くすぐったいと言うか……胸が熱くなるような不思議な感覚。 どうしよう……凄く、嬉しい……。 「あーでも、俺とあんたじゃ腕の太さが違うからブカブカにな――……」 「ありがと……凄く、嬉しい。大事にするな」 圭斗の言葉を遮って、ブレスレットを撫でながら満面の笑みを向けると、何故か圭斗は固まってしまった。 何か変な事を言っただろうか、と首を捻るが特に思い浮かばない。 「……椎堂?」 不思議に思って顔を覗き込むと、何故か照れたらしい圭斗に思いっきり顔を逸らされてしまった。 「……っ、あー……くそ。不意打ちとかやめろっての……」 ガシガシと頭を掻きながら悪態を吐く圭斗は耳まで赤くなっていて、珍しい光景に思わず目を見開く。 「ふはっ」 「おい、なに笑ってんだよ」 「いや……可愛いなって……」 普段カッコイイくせに、照れた顔はとても可愛くて、思わず笑みを零す。 本当に、コロコロ表情が変わるところも可愛らしい。 「可愛くねぇし! つか、アンタの目どうなってんだ!」 ムキになって怒る姿も愛嬌があって可愛いなと思うあたり、末期かもしれない。 そっと手を握り指を絡めて、ハッと顔を上げた圭斗の切れ長の瞳と視線が絡んだ。

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