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疑惑

目を開けると、見慣れない天井が視界に入って来た。カーテンの隙間から強烈な光が差し込んで来て思わず目を眇めた。 身動ぎしようとして体がびくともしないことに気付く。 「っ!」 そうだった! 昨夜は散々圭斗に啼かされそのまま――。じわじわと昨夜の事を思い出し一気に体温が上昇する。 慌てて身体を離そうと藻掻くがびくともしない。怜旺の身体はガッチリとホールドされており、圭斗の寝息が前髪に当たり、体温が伝わる。 心臓がドキドキと早鐘を打って、身体がぐらぐら揺れているような錯覚すら覚えた。 あまりにも恥ずかしくて逃げ出したい。でも、やっぱりもう少しこうしていたい気もして、圭斗の胸に額を押し付けながら悶々としていると、頭上から小さく「ぅ、ん」と声が聞こえて、圭斗が身動ぎをした。 起こしてしまっただろうか? ぎくりと身体を強張らせ思わず息を潜めて寝たふりをしようとしたが、それを見透かしたように圭斗の手が怜旺の頭を撫でた。 「あー、やべ……すっげぇ幸せ」 寝ているのか起きているのか分からないが、ポツリとそう呟かれて思わずグッと唇を噛んだ。 そんな恥ずかしいセリフをよくもそんなサラッと……。おかげでこっちはどんな顔をしていいか解らないってのに! 顔を上げることも出来ずに圭斗のシャツを握りしめて身悶える。 そんな怜旺の様子を知ってか知らずか、圭斗は頭を撫でてた手をするすると下へと滑らせて行った。そして手は首筋を撫で、背中に回り再び下へ――。 「っ!?」 そこで漸く圭斗が何をしようとしているのか気付き、勢い良く顔を上げるとニヤニヤと意地の悪い笑みを浮かべた圭斗と目が合った。

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