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エピローグ 2

「ふは、んだよバケモンでも見たような顔して」 「だ、だっておまっ、その髪……っ!」 「え? あぁ、うざったかったしいいかなって思って。それに、過去に拘る必要も無くなっちまったしな」 短くさっぱり切られた髪を掻きながら圭斗がチラリとこちらを見やる。 「長髪も良かったけど、短い方がカッケェじゃん? だから、早朝からやってる知り合いに頼んで切ってもらったんだ。……やっぱ似合わないか?」 「いや……」 尋ねられて言葉に詰まり思わず視線を逸らした。こういう時、どういう風にリアクションすればいいのかわからない。 何時もの見慣れた姿ではない為か、何故だか落ち着かなくて、妙にドキドキしてしまう。 短くなったことで、引き締まった精悍な顔付きがより際立って見えるし、耳に数個開けられたピアスと相成って、大人っぽいワイルドな雰囲気を醸し出している。 何となく顔が熱くなってくるのを感じながらも、それを悟られぬよう怜旺はなるべく平静を装った。 「もうすぐ、HRが始まるから。早く教室に行け」 「んだよ、それ……」 怜旺のそっけない態度が気に入らなかったのだろう。圭斗が不満げな表情を向けて来る。だが、今の怜旺にはそんなことを気にしている余裕はなかった。 胸の高鳴りが煩くて、とてもじゃないが彼の顔をまともに見れないのだ。そんな事、口が裂けたって言えやしないが。 「……その……っ、凄く、似合ってると思うぞ」 彼の横を通り過ぎる際、聞こえるか聞こえないかくらいの小さな声でそれだけ呟くと、怜旺はふいっと顔を背けてそのまま教室へと向かおうとした。 耳が熱い。きっと、自分の顔も真っ赤になっているのだろう。 だが、一向に付いてこない圭斗に疑問を感じ、チラリと後ろを振り向くと、ポカンとした表情でこちらを凝視している圭斗と視線がぶつかった。 「ふは、んだよそれ! ウケる」 そう言いながら表情を崩す圭斗の頬も心なしかほんのりと赤い気がする。 「なぁ、ヤりたくなったし、いつものとこ(マリン)にいかね?」 「はぁ!? ふ、ふざけんな!! おら、馬鹿な事言ってないで教室行くぞ!」 ニヤニヤと笑う圭斗に軽く裏拳をかまし、その腕を掴んで歩き出す。 まだまだ問題は山積みだし、この先に待ち受ける未来だって決して明るいものではないかもしれない。 それでも、2人でならきっと乗り越えられる。 だって、怜旺はもう一人じゃない。何かあったら全力で止めてくれる。最高のパートナーをもう手に入れたのだから。 例えどんな困難が待ち受けていようとも、この手は二度と離さない。そう心に誓いながら、怜旺は圭斗の腕を引いて教室へと向かった。 (完)

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