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22 大翔視点

連休初日と公開日も重なってかなり混雑したけど… 前もって二人分買って最後列の真ん中らへんで見やすいし、それに暗いから上映中は手を繋ぎながら見れる。やっぱり満席になった。 次のもどんどん席埋まってるみたい。 流石オシンは人気映画で毎年こんなだ。 飲み物だけ買って席に座る 「楽しみだね小学生になってから毎年見てたけど、父さんはいつもアニメと現実は違うとか実際の警察はこんなことしないとか文句ばかりだったよ。」 「そう言えば大翔のお父さんも警察官だったんだもんね、大翔のお母さんちょっと苦手だけど両親が刑事と検事ってカッコいいね」 ・・・カッコいいのかな?俺は複雑だよ 「どうかな、勤務先も所属とかも何も知らないし、刑事だった事しか知らないかったしさ。 母さんもだよ、ドラマとかでしか知らないけどよく聞く特捜部とか刑事部とか具体的な事は2人とも教えてくれないからさ、 多分仕事柄言えないのかもしれないけど」 とにかく2人とも俺には仕事の話はしたがらなかった。 上映時間が迫ってきてまだ空いていた隣に人が座ったが俺はその人物を見て驚いた。 「あっ」「立花くん?」 なんとクラスメイトの立花千尋だった 「どうしたの大翔・・って立花?」 「松丸?」 2人は面識あるのか? 「えっ悠里、立花くんと知り合いだったの?」 「だって同じ水泳部だよ。 立花は学年1の実力で大会では毎回メダルも 獲ってて身体も綺麗で可愛いからマーメイドエースとか呼ばれてる程だよ… 俺とは天地の差です。。 そっか大翔は同じクラスだったね」 立花くんクールで相変わらず話してくれないから何も知らなかったけど悠里と同じ水泳部だったとは、、 「ちょっとトイレ行ってくるね、ギリ間に合うといいけど」 悠里にトイレに行っちゃった。 立花くんと二人きりは気まずい 「学校では前の席で、今日も映画館で隣の席で何か縁があるのかもね」 軽く話しかけたら 「なに俺の隣座りたかったの?ストーカー? いつも話しかけてくるし、俺の事好きなの? お前ウザいしキモい」 ・・・・・・・・・ 何だコイツー💢初めて話してくれたと思ったらこれかよー 可愛い顔と声してこのギャップよ、、、 でもショックの方が大きくて言葉が出ない 「なんなら悠里と席替わろうか?」 小さく返すのがやっとだった 「別に」 「別にって、後さぁ一応言っとくけど俺は純粋に立花くん仲良くしたいと思っただけだよ。 でも立花くん俺だけじゃなく、誰とも最低限以外は話したとこ見たことないし、なんかほっとけないんだ。でも俺拒絶されても諦めないからね」 いつも無表情だけど少し和らいできた? 「ウザいしキモい」 (ー_ー;)偉そうな事言ったけど甘くないか 「じゃあ隣の席行くね」 「もう諦めんの?」 「えっ?」 「諦めない性格とか偉そうに言ったそばから逃げてんじゃん」 確かにここで諦めたらまた立花くんが話してくれる保証はない。 いや待てよ、そもそも今日は悠里とデートしに来たんだし、恋人か友達作りか まぁ映画は座って見ることだしなんとかなるだろう 「そうだねありがと、ところで立花くんって さぁツンデレかな?かわい痛っ!」 足踏まれたー 「調子乗んな!」 「ああ間に合ったぁ、どうしたの?」 丁度悠里も戻ってきて上映も開始した。 いつものように悠里とはひじ掛けの下から手を繋ぎながら鑑賞した。 これがとても幸せな瞬間だ

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