85 / 124

85 桐原楓《大翔母》視点

なんでこんな事に? 今は世間はゴールデンウィーク中。 私は自宅のソファで明かりも点けずただ座ってた。 しばらく休めと上から命令があり、ゴールデンウィークが明けるまで休憩になったが仕事してた方がまだいい。 時間になったら病院へ行きましょう。 事はつい先週の話だ。 「今回……起訴猶予といたします! ですがあくまで今回は被害届は出されず弁済もされ、更正の機会をと判断したからです。 ですが次に罪を犯せば今回罪状の窃盗罪も合わせて起訴されより罪は重くなります! 今後それを忘れずしっかり更正して下さい。 それでは書類作成後終了いたします。 事務官書類を」 「はい、ではこちらに署名と拇印を」 「一先ず落ち着いたわね昨日は裁判もあったし、くたくたね」 「少し休憩しましょうか?」プルルル 「電話ですね…はい第2室です。 少々お待ち下さい、桐原検事にお電話です」 「お電話代わりました桐原です」 《○○中学校の桐原大翔くんの担任をしております岡田と申します。実は……》 夕方に大翔が学校の屋上から飛び降りたと学校や警察からも連絡が来た。 すぐに病院に向かい警察や学校関係者も来ていた。説明を聞いたら 簡単な遺書パソコン文字で記入した紙と上履きがあり 《もう耐えきれない、ごめんなさい。大翔》 目撃者はいないが遺書もある事から警察は自殺と判断するそうだ。 状況的には確かに自殺に見えるけど。 あの子は自殺なんかしないわ。 それなにいじめや学校関係者、可能性はいくらでもある。 でも屋上には防犯カメラもなく、疑える証拠もない。 ここの所轄は担当外でいくら立場が検事とは言え私1人証拠なしの私情では捜査はしないでしょうね。 医師によると状態も全身強打による打撲や複雑骨折していて頭も打って出血しており、危険な状況だとの事。意識不明の重体だが草木とかに引っかかり多少は衝撃が減った事と発見が早かった事で即死は免れたのだろうと。 それでも問題はこれからよ。 目を覚ます保証はないし、意識が戻ってもどんな障害や作用があるか分からない。 最悪このまま息を引き取る可能性も…そんな 「先生あの子の意識はもうもどらないんですか?」 涙が出てきてしまった。 あの人が亡くなってから泣かないと誓ったけど… 「身体に関しては治療を行い、徐々に回復はしていくでしょうが現時点では何とも言えません…脳は損傷にもよりますが仮に意識が戻っても脳に障害が残ってる可能性もあります…幸い内臓破裂はありませんでしたがリハビリも出来ない状態では身体にも障害が残るかと…」 「でも意識が戻り、完全に回復する可能性も あるんですよね?」 「はい可能性はありますが…」 「でも期待はするなと?」 「まだ初日ですので今はまだ何とも…経過を観察し、様子を見ていきます」 「そんな…なんでこんな事に…」 翌日、私は警察に確実な調査を依頼したが 「勿論意識が戻れば息子さんにも聞き取り確認はします。 ですが現時点で自殺と判断された以上 いくら地検の検事さんでも正式な令状や手続きもなしで指示したり我々も動けないことくらい検事もご存知でしょ?」 確かに今の時点では捜査対象にはならない… 私だって自殺未遂の可能性も勿論考えてる。 でも……自分で確かめたい。 幸い休暇になったから…… 私自身が独自に少し調査してみた。 まずは学校にて校長や外で活動してた陸上部の顧問や担任、学年主任を集め徹底的に聞き取りしたが目撃者はなくいじめもなく皆慕うほどだったらしい。 屋上にも行ってみたが有力な情報はなく上履きは揃え、遺書があった。 でもパソコンで入力してるし、 大翔じゃなくても作る事は可能ね。 学校のPCなら誰が作成したか分からないし。 妙なのは警察によると遺書も上履きも大翔以外の指紋は検出されていないそう。 やはり自殺?でも何か引っかかる。 主婦の勘……自殺なんかじゃない気がする。 なら事故か他者による突き落とし? 大翔本人から聞けるのが1番だけど。 もし自殺だったならそれはママのせいで、 責任持ってしっかりケアするわ。 でももし違ったら私は容赦しない。 例え容疑者が中学生だったとしても、 大翔の母親として…そして 検察官として決して許さない。 罪を償わせる。 でも犯人がいるならかなり手強い相手だわ。 何故なら計画性があり、頭脳派な人間ね。 指紋がない…イコール手袋…つまり偶発ではなく計画殺人ね。 明らかに殺意を持った殺人未遂事件。 もしかして私が起訴した加害者の家族? か逆パターンもあり得る。 学校内に私が担当した被害者加害者の家族がいるか記録を調べてみた方が良いわね。 それか息子周囲の悠里くん以外の誰か? 悠里くんは間違いなく違うわ。 悠里くんは誰より信用出来るし、昨日来てくれて大翔を許してくれた。 大翔の姿に大泣きしてたし、心配してた。 それに彼には悪いけど私は仕事柄観察はよくするタイプだ。 悠里くんは単純で直情的、感情コントロールが少し鈍い。そんな彼には こんな完璧に計画した偽装工作は出来ない。 するならとっさに無計画でやってしまうはず。悠里くんはそんな事自体しないけど。 話を戻すが、遺書も筆跡鑑定を免れるためパソコンで打ち印刷した。 大翔に触らせたか1度触れた紙を手袋を使い印刷して突き落としてから遺書を追いた。 上履きについては油断していた大翔を軽く突き落とした直後に靴を押さえれば大翔だけが脱げた衝撃で落下する。 後は靴跡ね、直近のは大翔のしかなかったのは上履きを履いてなかったか? 細工か跡が付着しないようにしたのか? そもそも教員それとも生徒または部外者? いや違う、学校には監視カメラもある。 外部の知能犯なら学校に入り込むなんてそんなへまはしない。 だがカメラも対して役に立たないだろう。 まだ生徒もたくさんいたから容疑者を挙げたらきりがない。 これらはまだ私の推測にしか過ぎないけど、 もし事件なら立証するのはかなり難しい。 1番は犯人の証拠を挙げる事 頭脳派な知能犯…多分生徒ならサスペンスや推理系に詳しいかも… 間違いなく計算や科学に詳しい 理系が得意なタイプ… 警察の鑑識を上手くかわした上、 そして自殺と判断させた。 大翔が意識が戻れば犯人は絶対知ってるはず。 とりあえず今は待つしかない 大翔が認めるまでは自殺未遂と私は決めない。 大翔…必ず戻ってきてね…貴方まで失ったら ママ生きていけない、、、 あなたお願い大翔を助けて… まだあの子を連れていかないで

ともだちにシェアしよう!