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第1話

《湊side》 ずっと、雨が降っている。 翠雨(すいう)と呼ばれるその雨は 弱いながらもじわじわとあらゆるものを侵食し 気づいた時には足を掬われる。 そんな雨が、心の中にずっと降っている。 母が再婚し、2年たらずで離婚した。 最初の離婚は俺が10歳の時、妹達はまだ3歳だった。 女で一人、3人の子供を抱えての生活はとても苦しいものだったが 妹のうみとなみは双子で、いつも二人で遊んでおり、幾分か父親のいない寂しさが紛れたのは幸いだったと思う。 数年後、新しい父親が現れる。 俺、鳴宮 湊(なるみや みなと)が14歳になった年、 妹達が8歳になった頃だった。 山上義治(やまがみ よしはる)と名乗ったその男はとても穏やかで、 実の父とは似つかない程に、俺や妹達に優しく、愛情に溢れた男だった。 今まで仕事で不在だった授業参観や運動会、 子供達だけで過ごすことが当たり前になっていた学校行事に、 新しい父は母を連れてきてくれた。 母も俺達もその男を慕い、時が経つにつれ本当の父親のように感じるようにまでなっていた。 幸せな家族、 そんな日々が ずっと続くと思っていた。 中学3年の夏休み、 母と妹達が1泊2日で福引で当たった旅行に行くことになった。 夏期講習があるからと留守番を申し出た俺と、 それなら女子会でもしておいでと送り出した父と、二人で過ごした夜の事だった。 「父さん、お風呂あがったよ、俺先に寝るね」 リビングのソファで野球中継を見ている父に後ろから声をかける。 「ああ、おやすみ」 こちらを向かないまま返事をする父に 野球に夢中かよ、と内心毒付きながら寝室のある2階へ階段をあがる 1歩1歩あがる木目のフローリングがひんやりとして、火照った足に心地いい。 自室に入ると、枕元で充電していた携帯に母からメールが来ていた。 ”温泉も料理もめっちゃよかったよ!お兄ちゃんも来ればよかったのに!” 妹が書いたであろう文面と共に添付された写真には 部屋食の豪華な料理を背景に浴衣姿で笑う3人が写っている。 一番前で顔が見切れながらもはしゃいでいる姉のなみと、母の後ろで少し恥ずかしそうにしている妹のうみ。 帰ってきたらうるさいほど土産話を聞かされそうだ。 ”たのしそうでなにより。土産忘れるなよ” そう返信して目を閉じた。 ―なんだろう まどろみの中で肌に触れる感触と、苦しそうな声がする その声が自分のものだと気づき目をあけると、そこには俺の上に覆いかぶさり胸に顔をうずめる父の姿があった。 「…っ何して」 言葉を紡げなかったのは、衝撃が頬に走ったから。 一瞬目が回り、起こしかけた体がボフッと音を立てて再びベッドへ崩れ落ちる。 ああ、殴られたのだと自覚した瞬間、生ぬるい感覚が乳首に走り、何がなんだかわからないまま、それでも抵抗しようとその肩を押し戻そうにも 体格の差なのかびくともしない。 「やだっ…父さん!」 執拗にそこを舐められ、身をよじるが両手を押さえつけられていてうまく身動きがとれない。 クーラーのついていない生暖かい空気とハァハァという生臭い雄の息が肌に当たって気持ち悪くて吐きそうだ。 「抵抗するな」 低く唸るような父の声は知らない男の人のようでより一層恐怖が増す。 震える自分をよそに父は俺のズボンに手をかけ下着ごと下ろそうとする。 「抵抗するなと言っただろう!」 「…っ!」 無理やり下着を下ろそうとする手を払いのけようとした瞬間、腹を殴られた。 感じたことのない痛みに目がくらみ、また1発殴られる。 声にならない声とともに口から胃液が飛び散りシーツに染みを作る。 「かはっ…」 「せっかく可愛がってやろうと思ったんだがな、」 ゲホゲホと咳き込んでいる俺を見てニヤリと笑いながら父は俺の顔の上に跨り グロテスクな性器をいきなり口にねじ込んだ。 生臭く雄雄しいそれに口をふさがれ息がうまくできない。 苦しい、 怖い、 気持ち悪い 押しのけようにも頭を掴まれガクガクと腰を振られ喉奥まで押し込まれる。舌で必死に押し返そうとするが、返ってそれが快感になっているのか性器からは絶えず先走りがぬるぬると溢れて口内の滑りを良くしてしまう。 「んぐっ、ん゛ん゛ーー!!」 押さえつけられている手に、力の入らない指で爪を立てるのが精一杯で息苦しさと涙と鼻水で目が霞んでくる。 必死に目を瞑り耐えていると急に口から性器を抜かれた。 求めていた空気が器官に入り込んでむせて咳き込んでいる間に下着は取り払われ ゴツゴツとした骨ばった手が下半身に這ってくる。 嫌だ、 手が、そこを包む。 「まだ毛も少ない、こっちもきれいな色だ」 誰にも触れられたことのない場所をまじまじと見られ恥ずかしさと恐怖で震えることしかできない俺を父は軽々と抱き上げて四つんばいにし、性器をあてがった。 「ひっ…!」 硬く熱いものが当たる感覚、 慣らしてもいないそこがメキメキと音を立て、強い痛みが下半身を襲う。 「…やだっ、痛いっやだぁ!」 逃げるようにシーツを掴み身体を捩るが強い力で腰を引き戻され、肉棒がねじ込まれていく。 内臓を押し上げられる痛みの中で早くなっていく律動になすがままに身体が揺さ振られる。 「っ…おね、がっ…い、ひっ、や、っ…」 あまりの痛みに顔をうずめたシーツが涙と涎で濡れて、くぐもった声が悲鳴に消えていく。 部屋中に自分の憐れもない声と、聞きたくもない水音が響いているのが分かり必死で唇をかむ。 それが面白くなかったのか、いきなり性器を鷲掴みにされ上下に擦られる。 自分でもそんな風に触れたことのない場所だ。 友人との話の中でそういう行為があるのは知っていた。 多感な年頃だ、ネットやグラビア雑誌などである程度の知識はある。 だがあまり興味が持てず過ごしてきた。 それにそう言う行為は好き同士の男女がするもので、 友人の中にはもう経験しただの、していないなど、話題になることは多かったが、自分はもっともっと先の、大人になってから経験するものだと思っていたのだ。 だからこそ、大人の男である父が男の自分にそういう行為をしてくるなど考えた事もなかった。 「ひっ、あ…!」 繋がったまま上体を起こされ、後ろから突かれながら、ペニスを扱かれる。 人の手の感触に先ほどまで萎えていたそれがむくむくと勃ちあがるのが分かる。 「あっあ、や、だぁ、」 下半身に熱が集中する。 嫌だ、 そう思うのに腹の奥から何かが這い上がってくる感覚に腰が揺れる。 排尿とは違う、 何かが、来る。 「淫乱が」 「ハァ、ハァ、あ、あぁっ…!」 もう言葉もうまく聞こえない、 出したい、 出したい、 ただ、それだけ。 先端を執拗に擦られる。 その瞬間、 「やあああぁっ…!」 目の前が真っ白になり、信じられないほどビクビクと自分の身体が跳ねながら、白濁がシーツに飛び散った。 急に力が抜け前に倒れこんだ腰をがっしり掴まれ 間髪要れず激しく腰を振られる。 「あ゙っあ゙、あ゙、あ゙っあ゙!!」 腰を打ち付けられる度に太ももが痙攣し、強い刺激に濁った声が部屋中に響く。 「中に出すぞ淫乱」 そう言った父の声はもう俺には聞こえなかった。 「あ゙あ゙あ、ああああっ」 「イクっ」 熱いものが中に出されるのを感じてそこが収縮し、 再び自分も性を吐き出したのが分かった。 経験したことのない強い快感に、 そのまま俺は意識を手放した――。

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