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逢いたいのメールから始まる「お試し」の一ヶ月-6-C-

 翌朝。佑は宣言通りに洋佑を抱いた。朝起きてトイレに行って──後はただベッドの上。  最初はただキスをしたり、じゃれついていただけだった。そのうちに互いの肌を求めて体を重ね──気が付いたら熱を求めあうだけの獣のような行為に溺れていた。 「……あ、あっ…ふ、……──ア、…は…」  もう何度目か分からなくなるくらいの行為。尻を高くあげさせられ、後ろから突き上げられる度に足の間で揺れる洋佑の性器からぽたぽたと残滓が零れ落ちて内腿やシーツを汚していく。  規則正しく軋んでいた寝台の音が変わり、抜き差しを繰り返していた熱が奥深い場所へと突き入れられた。 緩々と中をかき混ぜるような動きで腰を回され、たまらず体を大きくくねらせる。  快感の大きさに反射的に逃げようとしたが腰をつかんで引き寄せられ、水音と同時に肌のなる音が響いた。 「──っ、あ、ァ……も、むり……」  すがるようにシーツを掴んだ手の上から優しく指を重ねられ、耳元に唇が寄せられる。 「もう少しだ、け…っ―………」  荒い呼吸が耳に吐きかけられ、それだけで中に埋められた熱を締め付けてしまい、また声を上げた。  朝から昼に変わる時間までベッドに縫い付けられ、何度も熱を吐き出し、吐き出されているというのに、「もう少し」も何もない──  意識の隅でそう思うものの、すっかり熟れた身体は与えられる熱に溺れて貪ってしまう。 「―――っ…はっ」  とまっていた腰がまた動き出した。  寝台の軋む音に混ざる水音と互いの呼吸と喘ぐ声と。  欲の残滓をかきだすような大きな動きで抜き差しを繰り返され、2人分の体重を受け止めきれず、自然と腰の位置が下がっていく。  既に粗相をしたかのように濡れそぼっていた性器の先端がシーツに押し付けられるような恰好で腰を揺らされて、たるんだ布を強く握りしめる。 「……っアぁ、んぅ――あ…っ、………は」  まるで性器を布でしごかれているように感じ、我知らず先端を擦り付けてしまう。その動きでたるんだ布が胸の先にあたり、また声を上げた。 「……い、…きもち、いい……」  呆けた声で呟くのは意識の外。  繰り返しの行為で既に蕩け切った肉の壁へと突き入れられる熱から得るものとは別の快感。  ひんやりとした布が胸を、性器の先端を擦り上げる度に背筋を這い上るそれに夢中になる。突き上げられる動きとはまた別の動きで胸を押し付け、更に低く体を落として腰を揺らす。 「あ、も…達く…でる………」  びくびくと震わせる体。シーツに擦り付けた先端が薄く開き熱を吐き出そうとした瞬間、ふわりと体が浮いた。 「…はっ……、…ふ……──っ、ぇ……?」  達した時特有の浮遊感ではない。物理的にシーツから引き剥がされ、上体を起こされた格好。  ちょうど相手の膝の上に足を開いて座り込んだような姿勢に変えられたのだと気づくまでに瞬きを数度繰り返す。 「………、…そんなにシーツがいい?」  思考がおいつかず、ぼんやりと視線をさまよわせていると、脇腹から胸へと指が這わされる。 「~~~ッ!、……」  堅くとがった乳首を指で押されると反射的に体が跳ねた。同時に達する直前だった性器に絡みつく指に意識を引き戻される。 「───っ、あぁ…、や…はな、し……」  薬指と親指で根元を締め付けたまま、中指と人差し指とで器用に肉を擦り上げられて、中に残っていたものが先端部分に盛り上がる。達するに達せないもどかしさに軽く足をばたつかせたが、両腕でがっちりと抱えられて抜け出せもしない。 「た、すく……おねが、……」  絡みついた指を解こうと手をかけるが、震える指に力が入らない。懇願の声に埋め込まれた熱が脈打つのを感じて、洋佑は大きく顎を仰け反らせた。 「洋佑さん……」  掠れた佑の声。一度強く根元を戒めた後、緩めた指先で根元から先端へと扱かれて、洋佑の全身が震える。 「ひぁ…、あ、…」  とろりと吐き出されたものを指へと絡め、また性器へと絡みついてくる動きに泣き出しそうな声が上がる。 「ほ、んとに…無理……、…は…ぁ、ふ」  達した直後の性器は震えて敏感に反応を返すが、吐き出すものはほとんどない。手の中でびくびくと震える洋佑の身体を抱き締めた後、シーツの上へとうつぶせる。 「ん……」  力なくシーツに埋もれた洋佑の身体から佑のものが引き抜かれて行く。無意識に締め付けてしまうが、引き留める程の強さはなく、解放された洋佑の後孔からは精液と潤滑剤の混ざったものが溢れ出た。 「──っ、ふ…ぁ…」  うつ伏せから仰向けへ。抵抗も手伝う余力もなく、なすがままに姿勢を変えた洋佑の身体へと佑の腕が伸びてきた。  抱き締めながら、顔や首筋へと繰り返し口付けられる。自分もと思いはするものの、指一つ動かす力がなくて、ただ荒い呼吸を繰り返すのみ。  暫く口付けを繰り返していた佑が、漸く体を起こした。隣へと寝転んだ後、脱力しきった洋佑の身体を抱き寄せる。するりと指が後孔へのびる。 「んっ……」  指先が触れるだけでぐちゅりと音が立つ。浅い挿入に尻肉が震え、あ、と小さく声を上げてしまう。動きそのものに激しさはないが、佑の指は根元まで入り込むと、中に吐き出したものを掻き出そうと指を曲げて何度か往復した。 「……また後で……お風呂入ろ……ちゃんと出さないと、ね」  ぐちゅぐちゅと音を立てて指が動く。思わず声を上げそうになって、洋佑は佑の胸に顔を押し付けた。 「……駄目だね…またしたくなっちゃう」  困ったように呟くと指が引き抜かれて行く。喪失感にひくつく縁を撫でた後、佑は改めて洋佑を抱き締めた。 「……ん、さすがに…俺、も、むりだぞ……」  ぐったりとした様子の洋佑を見て佑は静かに頷く。背中に回した手がそっと腰へと添えられた。 「うん……ごめんね…夢中になっちゃった」 「いいよ……俺も──そうだし。……でも、流石に毎週これだと体がもたないから──」  少しずつ考えよう。  とはいえ、今はもう考える余裕はない。ただ少し休みたい。 「後で水飲んで…風呂、……──」  言いながら意識が沈む。疲労感に気を失うようにして意識を手放した洋佑の背をそっと撫でてから、佑も眼を閉じた。         ◇◇◇◇◇◇◇  結局二人が起きたのはその日の夕方。べたべたの身体をシャワーで流した後、余力もなくソファでだらだらごろごろと過ごす。  汚れた寝具の交換もしたいのだが、それ以上に何となく互いの体温を感じていたくてソファから中々立ち上がれなかった。  が、佑が漸くソファから立ち上がる。 「洋佑さんは休んでて」  正直、手伝う体力はなかったから言葉に甘えてソファに座ったままで見送った。渡されたペットボトルの水を飲みながら、戻ってくるのを待つ。  環境が変わった興奮や緊張がお互いにあったのかも知れない。それにしても──と気だるい身体に重さを感じて微かな苦笑が浮かぶ。  ──動くのがめんどくさくなる程に溺れるとは思わなかった。  休みの度にこんなことをしていては、確実に身体が持たない。この一ヶ月──になるか、この先ずっとかはまだ分からないが、お互いに線を引く努力もしなくては。  などと考えに耽っていると、持っていたペットボトルを取り上げられる。 「どうしたの?」  いつの間にか佑が戻っていた。ごろりと姿勢を変えて佑の膝に甘えるように頭を乗せると、ペットボトルが戻って来る。 「……なんでもない。夕飯、どうしようかなって」  言い終えると水を飲み干した。空になったペットボトルは近くのテーブルに置いて、髪を撫でる佑の指の心地良さに眼を閉じる。 「流石に今から買い物言って作る気力はないから──何か頼もう」  そうだな、とのんびり答える。でも── 「その前に。もう少しだけのんびりしよう」  言いながら眼を開けた。顔を覗き込んでくる佑の頬へと指を伸ばすと、意図を悟った佑が顔を伏せてくる。  触れるだけのじゃれあいをしばらく続けた後、何を頼むかを決めるために体を起こした。

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