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こないだの健診の際に、まだ確定ではなかったが、今のところ男の子だと言っていた。
御月堂家の跡取りがそうであればいいなと思いつつ、膨らんでいるのが分かってきたお腹をさすっていると、「私もよろしいでしょうか」と尋ねてくる松下に触らせてあげた。
「そういえば、つわりの方は大丈夫でしょうか」
「はい。前よりも落ち着いてきました」
「それは良かったです。私の妻もそこそこ酷くて、食欲が湧かなかった他に、怒りっぽくなっていて、ちょっとでも足音を立てたら、うるさいと怒られましたね」
「そうなんですか」
元々、松下が結婚していたことが初耳だ。
よくよく見ると、薬指に指輪をしている。
人目を避けていたとはいえ、指輪をしてみたかった。
今思うと、籍を入れていたわけではなく、姫宮の発情期 がきっかけで衝動的に行為をして身籠もったわけで、本当は愛はなかったのではないかと思う。
若さ故の過ち──。
「ええ、あの頃はどう妻に向き合えばいいのか、悩みに悩みましたが、子どもが産まれてからは、子育ての大変さもありますが、子どものちょっとした仕草を見ると、毎日が楽しくて仕方ないのです」
「そうですか」
松下の心底楽しそうに話すことに、当たり障りのない返事をするのが精一杯だった。
"あの人"は口でこそ心配してくれていたが、本当は子どもなんてどうでもよかったのではと思う。
子どもが出来た時、反対するような態度もなかったため、自分ごと受け入れてくれたのだと勝手に思っていたのだが。
しかし。そんな人が何故、子どもを連れて行ってしまったのだろう。
片方の親がオメガで、しかも、バツイチの子連れも印象が悪いというのに、籍を入れてない私生児の子連れなんて。
「姫宮様?」
「⋯⋯はい?」
不意に呼ばれて、俯いていた顔を上げると、両膝を着いたままの松下と目が合った。
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