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第38話

「とりあえず、座らないかい?」 シンと静まり返った広い部屋の中、傍で見ていたベルゼブブの穏やかな声が響く その言葉を聞いてもなお、サタンを睨みつけるリュミエルを、ネルガルは無理矢理抱き上げた ネルガルは案内された椅子に座ると、その膝の上にリュミエルをちょこんと乗せる 大人しくネルガルの膝に座ったものの、睨みつける先には、変わらずサタンの姿があった 「はあ…先が思いやられるよ…」 困ったようなベルの声が響く 頬杖をつく彼の隣に座ったアスモデウスは、くすくすと上品に笑っていた 「はっ。ただの天使1匹もまともに躾けられないようだな」 「その天使に殴られたのはどこのどいつだろうな?」 「なんだと!?お前、俺に向かってよくも!」 一度は静かになったはずなのに、サタンの言葉にネルガルが噛み付けば、今度はネルガルとサタンの間に火花が散り始める その様子を見て、ベルはまた困ったようにため息を吐く 「まあまあ2人とも、そう神経質になるでないぞ。話が進まないではないか」 まるでベルをフォローするようなベルゼブブの言葉に、2人は仕方なく押し黙る 静かになった2人を確認すると、ベルゼブブは側にいた使いに指示を出す 頷いた使いは、ササッとネルガルの前ににてワインを注ぎ、リュミエルには暖かい紅茶と、鮮やかな菓子を振る舞った そこでようやくリュミエルの目線が、サタンから菓子に向けられる 好物の甘い匂いがその場に充満し、すかさずコクリと喉を鳴らす 少し遠くに座ったベルゼブブをチラリと見ると、意図を汲み取った彼は、微笑みながら頷いた それを見てリュミエルは一つ、菓子を手に取り口に入れる 思った通り、口いっぱいに広がる耽美な甘さに、リュミエルは一つ、またもう一つと口に入れた 「さて、やっと話ができるね」 「おいベル。ルシファーはどうした?」 2人を宥め、リュミエルの餌付けが完了し、ようやっと本題に入ろうとするベルに、ネルガルは訝しげに聞き出した 確かに、いつもならすでにいるはずの王の姿はなく、普段ならあまり会議にも顔を出さないベルが、この場を仕切っていることに、皆も不思議に思っていたようだ ルシファーがいないとなると、会議は成立しない 皆、ルシファーがただ遅れているだけだと考えていたようだが、ベルの様子を見るに、そうでもないらしい 「焦らないで、と、言いたいところだけど、もう単刀直入に言うよ」 少し悩んだ様子を見せた後、ベルはすぅと息を吸って、背を張り言った 「ルシファーね、だいぶ無理したみたいでさ。まだ完全に回復ができてない」 その言葉に全員がぴくりと反応する その様子からすると、これほど回復が遅いことは、非常に稀なことなのだろう ベルは構わず続ける 「今回のネルガルとサタンの衝突、今まで通り小競り合いで終わると侮ったゆえに、止めるのが遅くなった。ここまで激化するとは、思わなかったからさ」 そう言ってからベルはサタンと、ネルガルに目を向ける 「でも、責任は君らにある。サタン、ネルガル、君たちには反省してもらいたい」 「反省だと?俺は悪くない。先に手を出したのはアイツだ!」 「けど君は、ネルガルの天使に手を出したんでしょ?あれだけ僕が忠告したと言うのに。我慢が足りなかった。そう思わない?」 ベルは呆れたようにサタンを一瞥する サタンは威勢こそ良いものの、ベルの言葉に反論できずにすぐ押し黙る 対してネルガルは、ベルの言葉にじっと黙って聞いている 彼は自分の非に自覚があるようで、菓子を頬張るリュミエルを抱きしめる腕に、力が籠った 「もうめんどくさいから言うけど、あの天使、もう僕の庇護下だから。次手出ししたら、僕も黙ってないからね」 最後に杭を指すようにサタンに冷たく言い放てば、サタンは何も言わなくなった またベルは深いため息を吐くと、リュミエルをチラリと見やる この重苦しい空気の中でも、変わらず菓子を頬張るリュミエルの、別物に変わってしまった黒い翼を見やる 美しかった白い翼はもうそこにはない 左右非対称の翼が今は不恰好で異質だ それでも先ほど、サタンを威嚇する際に大きく羽を広げる姿を見て、何故だか様になっていると思えてしまったのだ 怯えていたころより、堂々としている方があの子らしい ベルはつくづくそう思ったのだ ベルの予感が、リュミエルに強く惹かれている まだ、あの子を死なせてはいけない、と そのためには、ここにいる悪魔全員に、リュミエルがベルの加護の元にいると周知させなければならない ベルの物に手を出すものはそうそういない 知らしめるために、ここに大罪を集めたのだ 「…さて、本題なんだけど。近々天軍が来る。備えるために、今後は戦争を控えて欲しい」 改めて、ベルはサタンだけではない、ここにいる全員に向き直る ベルの言葉にしばし皆困惑したような顔をしたが、大罪の中の1人が手を上げた 「よろしいでしょうか」 「はい、マモンくん、どうぞ」 彼の服装はキッチリと整っており、顔には片眼鏡をし、長い髪を一つに結び肩に垂らしている パッと見ただけでは悪魔とは信じ難いが、額に揃った2つの枝角と、背には大きな翼がしっかりと生えていた 彼、マモンは綺麗な言葉遣いで、ベルに疑問をぶつけた 「…お言葉ですが、天使との戦争はこの間終わったばかりでは?天界も兵が減り、そうすぐには魔界に訪れないかと…」 「いや、今回は違う。彼らは着々とこちらに来るのを伺っている…その中には、ミカエルもいるはずだ」 その言葉を聞いた瞬間、ざわりとその場にどよめきが立った その場にいた全員が、不可思議な顔でベルを見やる だがベルは変わらず薄いベールに覆われて表情は見えない あまりの異様な雰囲気にリュミエルも、菓子を持った手を止めた ネルガルも驚愕したような顔で、さらにリュミエルの抱く力が強まった 今まで魔界と天界は幾度となく争いを交えてきたが、その中に高位天使のミカエルはいない 彼は軍だけ送り、自分は上で待機している もがく悪魔を見下ろして、ほくそ笑んでいるだけだった。今までは。 だが、彼も名ばかりの天使ではない 多彩な力と、圧倒的な影響力を持っており、奴が戦時に姿を現した暁には、あのお遊びのような戦いはたちまち血の海と化すだろう 皆はそれは恐ろしいことだと理解している だがなぜミカエルが急に魔界に赴くのか その理由がわからなかったのだ 「なぜミカエルが…?申し訳ないですが、しっかり説明頂かないと、我々も理解し難いです」 「説明なんて、いらないでしょ?」 「またお得意の予知ってやつか?」 「そうさ。僕の勘はよく当たる。知ってるでしょ」 「まさか、それを言うためだけに、私たちを呼び出したのか?」 「うん、それだけ。大事なことだよ?」 大罪の中から次々と疑問の声が上がるが、ベルはそのどれもに曖昧な答えで返す 全員が何を言っているんだ、と不審げな表情でいたが、菓子を手にしたリュミエルだけが、そのままに固まっていた ミカエル…ミカエル様が…? リュミエルは魔界に来る前に、あの人を怒らせた自覚があった とは言え散々酷いことをされたので、リュミエルが悪いとは思っていないのだが。 おそらく向こうではリュミエルが死んだものとして扱われているはずだが、もし、生きていることが知られているのなら あの人がリュミエルを捕えに、魔界に足を伸ばす可能性も、ゼロではない そのことに気づいてしまったリュミエルは、静かに体を震わせる 突然怯えだしたリュミエルに、ネルガルは戸惑っていたようだった 「とにかく、皆仲間割れを避けて力を温存して。ルシファーが負傷している今、僕らに勝ち目はない。いい?わかったね。はい、解散」 多すぎる質疑応答に痺れを切らしたベルは、パン、と手をひと叩きして、乱雑に話を終わらせた 訝しげながらも、これ以上話す気のないベルを見ては、次々と立ち上がって帰って行く ネルガルも帰ろうと立ち上がったときに、アスモデウスが2人を呼び止めた 「リュミちゃん!おいで!」 彼女は嬉しそうにリュミエルを手招きする もちろん断る理由もなく、リュミエルはネルガルと共に彼女たちの傍にかけ寄った そこに残っていたのはベルはもちろん、ベルゼブブも残っていた ここは彼の城なので、客が帰るまで留まるのは当たり前ではあるのだが、リュミエルはまだ信用しきれずにいるため、少々警戒気味だ 「怖がられてるわね」 「おやおや」 ネルガルの裾をきゅっと握るリュミエルに、アスモデウスもベルゼブブも、和やかに笑う 仲が良さそうなところを見るに、さほど警戒しなくてもいいのでは? とは思うが、サタンに肩入れしていた人物であるため、やはり好きにはなれない 「リュミちゃん、さっきはかっこよかったわ。サタンのあの顔、傑作だわ」 「いやはや、ここまで肝が座ってるとは。私もビックリだよ」 「いつもはこんなことしないはずなんだがな…リュミエル、大丈夫か?」 楽しそうに先ほどの一連を話す2人とは別に、ネルガルはリュミエルを心配するように顔を覗き込む 別に怪我をしたわけでもないのに大袈裟な、と思いながら彼を心配させぬようこくこくと頷いた 「リュミちゃんは、まだ話せないんだね」 少し間を置いてから、ベルは溢すように言った 途端に、その言葉に噛み付くようにネルガルが反応する 「そうだ、早くリュミの呪いを解けよ」 「君は…人の話をすぐ忘れる…いや、端から聞いていないのか」 ベルは呆れたようにため息を吐くと、困ったように腕を組んだ 「んー…ここまで長引くとは、本人は大丈夫そうなのに…」 「何の話だ?」 ぶつぶつと独り言のように話すベルに、ネルガルは首を傾げる ベルふと、思い出したように顔をあげると、懐から手帳とペンを取り出した 「そうだ、リュミちゃん。これは僕とアリスからプレゼントだ。読み書きはもうできるんでしょ?」 なんで知ってるんだ、と思いながらも手帳を受け取ると、付属したペンで、拙いながらも文字を書いていく 『ありがとう』 「うん。持ちやすいサイズにして良かった。カバンはネルガルに繕ってもらいなね」 その文字をその場の皆んなで覗き込み、上手だとか、賢いだとか、頭をこねくり回され褒められた リュミエルがの頭が鳥の巣になるくらいぐちゃぐちゃに撫でられたころ、ベルは静かに言った 「少しだけ、リュミエルと2人にしてくれないかい?」 「は?何言ってんだ。ダメだ」 ネルガルはもちろん反対したが、アスモデウスとベルゼブブ、巨体の2人に引きずられて、あっという間に扉が閉まった 「…?」 「…リュミちゃん、一つ聞いていい?」 2人きりになって、妙に真剣な雰囲気を醸し出したベルフェゴールは、サッと顔前のベールを取り払う ベルフェゴールの素顔が晒される 白い肌に蠢く紋様は変わらないが、以前見たよりも、少しばかり範囲が広がっているように思えた 幼子のような綺麗な瞳が、リュミエルを見やる 色を失った唇から、少しばかり隙間が空いて、そこから小さな音を出す 「リュミちゃんは、天界に戻りたい?」 「っ!」 突然、そんな事を聞かれて、リュミエルはすぐに首をブンブンと横に振った あんな悲惨なところに戻りたくない できるならば、このままここでネルガルと、貴方たちと過ごしたい なぜ今更そんなことを聞いてくるのかわからずにいると、ベルフェゴールはまた小さく呟くように言った 「ネルガルが好きかい?」 「………」 リュミエルは唐突な質問に戸惑いながらも頷いた それを見てベルは満足げに微笑むと、トンっとリュミエルの胸を突いた 「なら、受け入れなさい。それが、君の呪いを解くヒントだよ」 リュミエルはそれを聞いても、よくわからぬまま首を傾げた だがベルは嬉しそうに笑っていて、余計に意味がわからない リュミエルは貰った手帳に、さっそく文字を書き連ねた 『何を?』 「それは自分で考えなさい」 『わからない』 「いずれわかるよ。僕は、君がネルガルをどう思っているかだけ聞きたかっただけだから」 ベルはそう言って立ち上がると、リュミエルを連れて部屋を出た 3人はその場で談笑していたようで、リュミエルが出てきた途端、ネルガルは大袈裟に抱きついてきた 「なんの話をしたんだ?」 「秘密さ。帰りにルシファーに会いにきてあげなよ。1人で寂しがってるんだ」 その後ベルの言う通り帰りにベルの宮殿に寄るべく、ベルゼブブとはその場で別れた まだ彼の素性はわからぬが、警戒するに越したことはない リュミエルは別れ際にも鋭い睨みを効かせてやった 4人でルシファーの元に訪れた時は、それはそれは驚いた 以前会った時よりもルシファーは、より老いて見えた まだ動かしにくそうな四肢に鞭打って、リュミエルとネルガルを快く迎え入れた その際、ネルガルには長い説教を、リュミエルには暖かい労いの言葉をくれた 全く別物になってしまったリュミエルの黒い翼と、さっぱり翼が消えたネルガルの背を交互に見て、なんとも複雑そうな顔をしていたが、深く言及はしなかった 「おお、ついに読み書きができるようになったのか?」 『まだ、むずかしい』 「いいや。上手く書けておるよ。まだ魔界に来てそう日は経っていないのに」 手帳に文字を書いて見せてやると、ルシファーはまるで、孫に話しかけられたように嬉しそうに笑っていた そんなルシファーに、ネルガルは誇らしげに胸を張る 「リュミは賢いからな。これからもっと賢くなる」 「それにね、すごく度胸があるのよ?今日はサタンにビンタしてたわ!」 「なんだと!?」 ネルガルに便乗してリュミエルを褒めるアスモデウスの、驚愕的な言葉に、ルシファーは目を見開いた それは言わないで欲しかった、と目線をアスモデウスに向けると、彼女も口を手で覆って、やってしまったといった顔をしていた そのあとはルシファーの説教やら、近況報告など、雑談をしていれば時間はあっという間に過ぎていった 「じゃあな、早く怪我直せよ」 ネルガルがそう言って手を振ると、しばし悲しそうな表情を浮かべたが、ルシファーは気分よく送り出してくれた 「あらグリフォン。久しぶりね、元気にしてた?」 「…アスモデウス様も、お変わりないですか」 外に行くとグリフがすでに待機していた アスモデウスは嬉しそうに彼に駆け寄ると、その大きな体でグリフを抱きしめた 彼は苦しそうに顔を歪めながらも、その大きな背に手を回す まるでその姿は親と子のようだった 「ゆっくり挨拶したいところですが…今日は遠慮しときましょうか」 「そうね。リュミちゃんも疲れているようだから、早く連れ帰ってあげて」 そう言うと大きな体はグリフから離れる グリフはめいっぱい息を吸うと、瞬く間に獣の姿に変身した 「じゃあ、またな」 リュミエルを抱え、ネルガルが2人に挨拶をする 同時にリュミエルも2人に手を振ると、穏やかに笑って返してくれた グリフの大きな翼が風を巻き起こしながら羽ばたく 風が前髪を浮かし、思わず目を閉じ開けた時には、ネルガルの城はもう目の前だった —————————————————— 「ベルと何話したんだ?」 ベッドの中で向かい合わせに抱きしめられながらネルガルに聞かれ、リュミエルは困った ベルと話した内容は、正直リュミエルも理解できずにいる 何かを受け入れるとか、呪いを解くとか。 ベルはわざと遠回しな言い方をするのだ それは、自分で考えなければならないということを課している気がする これは自分のことなのだ ネルガルの力を借りずとも、解決しなければならない ベルはきっとそう言うと思って、リュミエルは小さく首を振った 「なんだ、お前も教えてくれないのか。ずるいぞ」 話してくれないとわかると、子供のように拗ねて目を伏せる そんな彼が愛おしい そう思うようになったのはつい最近だ 彼はリュミエルよりずっと長生きなはずだし、体格も力もリュミエルよりずっと上だ それでも彼が垣間見せる無邪気な顔を見て、リュミエルはどこか寂しい気持ちになる 大人に成りきれず、子供のままではいられない 彼もどこか違和感を感じているのではないだろうか 周りは勝手に背が伸びるのに、ネルガルは無理して背伸びをしているように思えてならない そう思うのは、リュミエルが子供好きだからだろうか そんなことを思い、リュミエルはくすりと笑みをこぼした ネルガルはいまだに拗ねていて、リュミエルの肩に顔を埋める 母親に甘えるようなその行動に応えるようにリュミエルは彼の頭を撫で続けた ネルガルはその手に、気持ちよさそうに頰ずっていたが、突然リュミエルの下着の中に手を突っ込んだ 「ひぅっ」 「んー。リュミはあったかいな」 ひんやりとしたネルガルの手は、無遠慮にリュミエルの尻を撫で回す ゾワゾワと背を走るくすぐったさに身を捩るが、ネルガルは楽しそうに笑うと、さらにリュミエルを強く抱きしめた リュミエルの体はふるふると震えて、耐えるようにつま先を丸める そんなリュミエルを、ネルガルはさらに攻めるように、吐息が漏れる小さな口に長い舌を押し入れた 「んっ、んっ…んあ」 ネルガルの長い舌は、すぐにリュミエルの口をいっぱいにする 空気を求め口を開けるが、さらに奥へ奥へと舌が侵入し、逃げ場を無くすのだ そのうちくすぐったさは快感へと変わっていく ネルガルは頃合いを見て、リュミエルの小さな蕾に、長い指を挿し入れた 「んう!?…あぅっ、んくぅ」 「…狭いな。しっかり、解さないと」 何度経験しても、リュミエルの蕾は緩むことなく狭いままで、今もネルガルの言葉に反応して、きゅうっ、と締めつけてくる そんな可愛らしい反応を見て、ネルガルはゴクリと喉を鳴らす おもむろにリュミエルを仰向けに転がすと、ネルガルはその上に覆い被さる形に変えた この方が、リュミエルの顔がよく見える ふわふわとした癖毛も、紅潮し艶やかになる頬も、良いところを掠めるたびに細められる茶色い瞳も。 この全てが自分のモノだと理解した時、ネルガルの心も埋め尽くされる 屹立する自身の欲望をぐっと抑えつけ、リュミエルの蕾にまた一本、指を増やし挿れた 「はうっ、んんあ!あぅっ」 「ははっ、もうイったのか?悪い子だ」 リュミエルの蕾はすでに三本の指を咥えて、それを締め付ける 回数を重ねてもリュミエルの快感は減るどころか、毎度のように敏感になっていった ふいにリュミエルの弱いところを指で叩いてやれば、途端に体が痙攣しすぐに果てる 吐露した液体はリュミエルの薄い腹に残り、リュミエルが呼吸して腹が上下するとゆっくり滴っていく ネルガルはそれさえも惜しくて、咄嗟に口を開けると、腹に残る液体をベロリと舐めとった 「っ!?うっ、うぅっ!」 余韻に浸って惚けていたリュミエルだったが、ネルガルの奇行にギョッとすると、咄嗟に彼のツノを掴んだ いやいやと首を振り、何とか腹から離そうとツノを握る手に力を入れるリュミエルを他所に、ネルガルは構わず舐め続けた 結局、へその中まで余すことなく舐めとったネルガルは、まるで勝ち誇ったかのようにペロリと自身の唇を舐めて見せた そんなネルガルに、ショックを受けたような、はたまた呆れたような目で見やる ネルガルはニヤリと口を歪めると、今度はリュミエルの足を肩に担ぎ上げた 「もういいだろ?…俺も、限界だ」 「…っ!」 ぐんっとネルガルに引かれ、尻に硬いものが当たる それが何か理解するよりも先に、リュミエルの奥深くまでそれが突き挿れられた 「うぐっ〜〜〜!!」 「…うっ、きつ……あ?リュミエル、まさか挿れただけでイったのか?」 あまりの締め付けに眉を顰めたネルガルだったが、リュミエルを見て目を丸くする リュミエルはびく、びくと痙攣し、とろりとした目は焦点が合っていない つま先はピンと伸び、背を弓なりに反らせている 前から液体が出た様子はないが、この反応は絶頂に間違いないだろう ずいぶんとエロい体に開発してしまったようだ 純白の天使をここまで汚したことへ覚える背徳感と、圧倒的な充足感。 ゾクゾクと頭を刺激するリュミエルの姿に、ネルガルの欲が大きくなる 存在感が強くなる腹の中のモノに悶える様さえ愛おしい そんな姿を存分に眺めたネルガルは、おもむろにリュミエルの腰に手を添えた 「んあっ、んぅ…?」 「…動かすぞ」 「…あっ!んああっ!?」 「お前ばっか気持ちよくなって、不公平だろ?」 言い訳のように連ねられた言葉は、すでにリュミエルに届かなかった 一度初めてしまえば止まることなく律動が続く リュミエルの最奥を狙って動くそれに、連動でもするように体をびくつかせた 出し抜きされるたびに、リュミエルの中は快感にうねる 多すぎる快感にリュミエルの脳は焼けるように熱くなった 「ひあっ!ああっ、んあっ」 「リュミ、リュミエル…気持ちいいか?」 待ち侘びた快感を得られたネルガルは、腰を動かしながらも上機嫌に、リュミエルの腹を撫でた 一方リュミエルは、快楽に悶えながらも必死に自我を保つ ひっきりなしに漏れ出す甘ったるい声も、涙でぐちゃぐちゃな顔も、ネルガルに見られたくなくて、どうしても隠したかった 「うくぅ、んあぅっ」 「隠すな…ちゃんと見せろ」 リュミエルは不揃いな背の翼を、自分の前に持ってくる ネルガルとの間で広げ、自分を隠そうとするが、ネルガルはそれが不服だったらしい 翼を優しく払いのけると、涙目のリュミエルと目が合う いまだ奥を穿つネルガルのモノに体を震わせ、シーツをキツく握っている ネルガルはそんなリュミエルの手を取ると、自分の首に回させる 意図を汲み取ったリュミエルはネルガルにしがみついた 「いい子だ…」 「ふぅっ、うくぅ、んんっ」 ネルガルは近くなったリュミエルの唇にかぶりつく リュミエルも負けじとネルガルにしがみついた 振り落とされないように なんて、思っているんだろうか。 弱くなった頭でそんなことを考えているなんて、なんとも初心で可愛らしい ネルガルはリュミエルの頭を、片手でしっかり支えてやる 落とすなど、あり得ない リュミエルから感じる体温、香り、音。 全てがネルガルを強く刺激する それはまるで中毒のように頭にこびりつく 離さない。離したくない。 多少歪だとしても、リュミエルを思うこの気持ちを、愛と呼ばず何というのか。 ネルガルはリュミエルの体をグッと引く リュミエルの全てが、ネルガルだけで埋められたらいいのに そんなことを考えながら、ネルガルはリュミエルの一番奥で、たっぷりと愛を注ぎ込んだ

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