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第18話【最終話】
「おはようございます!」
「ああ、おはようさん」
今朝は定時ではなく、早出シフトに合わせて出勤した加瀬部長は、またも部下の百瀬とエレベータで鉢合わせした。
「あれ?部長…?」
「なんや、またなんか変か?」
きょとんとした百瀬がじっと部長の顔を見詰めている。
「てか、たった一日でメッチャ元気そうですやん」
「おう、昨日はみんなのおかげで病院にも行けたしな。元気になったし、バリバリ仕事すんで~」
「ああ、郎主任に慰めてもらったんですね」
「何言うてんねん、キミ」
呆れた様子だが余裕で部下をいなし、豪快に笑いながら部長がエレベータから先に出た。
そして、ハッと気づいたように後から出てきた百瀬を振り返った。
「あ、そうそう。昨日言うてたランチの店、教えてくれる?」
「!もちろんです」
百瀬は急いでスマホを取り出し、最近出来たばかりの、ランチの美味しいオシャレなカフェの情報を部長に送る。
そんなことをしていると、一度下がったエレベータがまた戻り、ドアが開いた。
そこから出てきたのは、郎主任だった。
「あ、おはようございます、主任!」
百瀬は元気よく挨拶すると、部長の肩を馴れ馴れしくポンポンと叩き、声を出さずに、(頑張って!)と口を動かし自分のデスクへと飛んで行った。
エレベータの前で2人きりになった部長と主任は、互いに屈託のない明るい笑顔を交わした。
「おはよう」
「おはようございます」
それだけで、心がふんわりと温かくなる。
「昨日はありがとうな。で…今日なんやけど…」
「ランチでも一緒にいかがですか?」
威軍が先んじて言うと、まるで考えを読まれたかのように驚いた部長だが、すぐにニッコリすると黙って頷いた。
「さあ、今日もお仕事頑張っていこか!」
そう言って部長は主任の肩を抱き、幸せそうに並んでオフィスへ入って行った。
《おしまい》
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