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満点の星空の下で ⑦

「あ……」  自分の双丘と光也の腹の間に、熱く硬いものを感じた。 (みっくん、大きくなって……?)  気づいてしまえば、光也の唇から漏れる息も荒く熱いことに気づく。  初めて無自覚なヒートを起こした日、社のトイレでも光也のベッドの上でも光也の発情は伝わってきた。だが、光也のものが変化したかどうかまではわからなかった。  光也は理性を保ち、荒ぶった姿を千尋に見せなかったから。  でも今は、薄衣一枚の隔たりもなしに、光也の欲情を感じられる。 「みっくん……」  つぶやいたと同時に心臓が大きく跳ね、全身へと血流が巡る。防波堤を破る濁流のようなこの変化がなにかを、千尋はもう知っている。    苦しい。心臓を直接鷲掴みにされるように苦しい。息がしにくくて口をはかはかと開けるせいか、バスルームにいるのに喉が乾く。  (ほしい、この熱いの)  渇望しているのは上の口だけじゃない。  千尋は無自覚に腰を上げた。だが手と足が自由にならないから、すぐにへたりと降りてしまう。そうすると光也の熱塊が窄まりの表面をこすり、つるりと尾てい骨を撫で上げる。  千尋は仔猫が喉を鳴らすような甘えた声を漏らした。 「うぅん………」 「千尋、ほしいの? 俺のが」 「ん、んぅっ」  返事の代わりに何度も腰を揺すり、熱くて大きいものをひくついた窄まりにこすりつける。    気持ちがよくて切なくて、千尋は感じるたびに喉を鳴らした。 「気持ちいいね。ねぇ、想像して。千尋のここに当たってるこれを千尋の中に入れて、奥まで突いたらどうなるかな?」 「ふぁっ……」  光也も腰を動かし、熱塊をすりつけてくる。 「ぐっしょり濡れた千尋の中を何度も何度も行き来して、感じる部分をトントン、ってノックして、それから、当たってないところがないようにぐちゃぐちゃにかき回して……」 「ん、やぁ」  低く甘い声で、淫らな言葉を耳の中に注がれる。柔らかい唇が時々耳朶に触れ、千尋は全身をわななかせた。  泡風呂で隠れていて見えないが、熱芯となった千尋のペニスの先からも、淫路になった後孔からも、透明の蜜が溢れ出ている。 「千尋、すごく濡れてる」 「あっ……! だめっ……!」  ぱくぱくと先端の口を開き、湯の中で怯えるように震えていた熱芯の露頭を()された。  瞬間で、後孔からうなじに向かって興奮が競り上がる。  指一本。たったそれだけの刺激で、千尋のうなじから大量のホルモンが萌出した。 「ん……凄いね、千尋。今までで一番濃いよ。上質のバニラリキュールみたいだ」  反応するように光也の熱塊の先も粘りをまとう。二人が出したフェロモンで、バスルームはむせ返るようなバニラの匂いに包まれた。

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