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満点の星空の下で ⑧

「みっくん、ほしい……ほしい……」  経験もないのに躊躇なく言ってしまう。  欲望が羞恥心を凌駕していた。 「……千尋、俺が好き?」  熱芯をゆるゆると上下されながら問われる。  もっと、もっと強くしてほしい。胸の先をねじりながら、色が変わるくらいに熱芯の根元を握って、後孔を裂く勢いで腰をぶつけて貫いてほしい。 「あ……? ちが……ほしいの。お願い、痛くして。ぎゅっ、てして、早く大きいの、入れて……!!」  ほしすぎて、光也が何を聞いているのか理解できず、叫ぶようにして背を反らした。腹の中がじんじんしてたまらない。  ────だが。  光也の動きが止まった。荒い息を整えるように大きく息を吸い込むと、千尋の熱芯と尻を撫でていた手を離し、上半身を包むように腕を回す。 「み……くん……?」  離さないで、もっと触って。  そう訴えたくて顔を向けた。  光也は眉を歪めて目を閉じて、千尋の首筋に唇を置き、肉厚な舌でうなじを何度も何度も舐め上げる。 「みっくん……?」 「今はまだ駄目。千尋にちゃんと俺自身を求めてほしい。動物みたいな欲情に支配されたくない。もう一八年待ったから、俺はまだ大丈夫。まだ待てるから……千尋、俺のことをどう思っているのか、ちゃんと考えて?」 「え……」  戸惑ってしまう。わからず屋の千尋に教えると言ったのは光也なのに、それは教えてくれないのか。 「そろそろ上がろう。湯あたりするとよくない」  手と足を縛っていた衣服から解放される。  光也が先にバスタブから出て手を差し伸べ、慎重に千尋を引き上げると、肌触りのいいふかふかのバスタオルで髪から足先まで丁寧に拭いてくれた。  だが、バスルームにはまだ二人の香りが濃く残り、二人の腹の前の熱も天井を向いたままだ。 「……これだけはどうにかしておこうか。おいで、千尋」 「わっ……」  腰に手を回され、細い身体を持ち上げられる。  互いに裸のまま対面抱きになり、足は光也の腰に絡ませられた。  光也はその体勢で容易に階段を上がり、二階の寝室まで千尋を運んでいく。  その途中、光也の割れた腹に熱芯がこすれ、千尋は性懲りもなく体を震わせた。 「たくさん気持ちよくしてあげるからね」  寝室に入るとすぐにベッドに沈まされ、光也の唇を鼻の頭に受ける。  「ン……」  ほしいのはそこじゃない。一度だけ、あの夜にしてくれたみたいに、唇にほしい。それなのに光也は唇だけを避け、顎、小さな喉仏、胸骨をまっすぐ辿ってへその下を滑っていく。 「ぁあっ……!」  熱い中に熱芯を誘われて、千尋はかん高い声を室内に響かせた。  薄い下生えの下に顔を(うず)められ、じゅぶじゅぶと音を立てて熱芯を(ねぶ)られている。

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