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満点の星空の下で ⑨

「熱いっ……みっくんの口の中、熱くて溶けちゃう……!」  初めての熱さに頭がくらくらした。脳みそもペニスも溶けてしまいそうになる。 「ふ……あぁっ、だめ、みっくん、だめ!」  光也の柔らかい髪に指を入れて頭を掴み、逃げようと腰を左右した。だが光也はびくともせず、より強く吸い上げてくる。  時に先の張り出した部分に歯をかけられ、時に鈴口を舌で割られた。 「だめ、だめだったら、出ちゃう、出ちゃうから!!」  腹の底のふつふつとしたものと、会陰のあたりに燻る熱さが、溶けそうな熱芯に集まり膨張する感覚が襲う。 「もう出ちゃ……!」  これ以上は自制できないと、来たるべき開放感に備えて瞼をきつく閉じたときだった。根本まで咥えこんでいた光也の口がゆっくりと先へ向かい、唾液でてらてらした露頭をちゅるん、と吸い上げて……離れた。 「ふぇ……?」  ()けそうで()けず、千尋は腰をひくつかせながら、光也を見る。 「まだだよ、千尋。これからだよ。わからず屋にはお仕置きだって言ったでしょ?」  微笑んでいるが、どことなく意地悪な、それでいて妖艶な顔。 (これは、もしかして‘‘焦らしプレイ‘‘というものでは。しかも本日二回目の)  そう思っている間に、濡れそぼった千尋の熱芯に大きな熱塊をこすりつけながら、光也が頭側に移動してくる。  やっとキスしてくれると期待して、身体を震わせながらもわずかに顎を上げた。だが光也は千尋の胸の位置で顔を止め、舌を尖らせて胸先をつついた。 「ひ、ゃ、ああっ」 「千尋の大好きなここもかわいがってあげなきゃね」  硬く尖らせた先を唇でこすりながら言われ、身がよじれる。 「や、ぁあっ、ぁあんっ」  ()を置かず、舌は千尋の胸の薄桃色の縁をくるりくるりと周回し、次には潰すように()してくる。反対側は指で転がされ、爪の先で弾かれ、その間も光也は腰をゆるゆると回して、千尋の熱芯に自分のものをこすり合わせてくる。 「ひゃ、や、何、これっ」  甘い疼きが肌を粟立てる。千尋は高い声を発する口の端から唾液を漏らした。  どこもかしこもちっとも痛くないのに、どこもかしこも敏感になっている。緩くねじられる左胸の先も、光也の口の中で踊らされる右胸の先も、ぬるぬるとこすれ合う熱芯も……触れられてもいないのに、ひくひくと収縮する後孔も。 「……みっく、みっくん……!!」  鼻にかかる声で光也にしがみつき、手足を絡めると、光也は苦悶の表情を浮かべて喉でうなった。 「っつ……。千尋は仕方のない子だね。でも、わかるまで俺のはあげないよ。ねぇ、聞いてる?」 「みっくん、みっくんん」  感じすぎて涙が出る。自我はもう、蕩けてなくなる寸前だ。 「本当に仕方ないな。これじゃ、お仕置きにならないよ?」  滴る汗はそのままに、光也はものほしそうにひくつく濡れた窄まりに指を二本あてがった。少し進めただけで、千尋の淫肉は光也の指をこぷりと飲み込んでいく。 「たまらないな……喰いちぎられそうだ」  我慢も限界、というように光也は大きく腰を振り始めた。猛った熱塊と千尋の熱芯を激しくすり合わせながら、指の抽挿を早めてくる。 「……っああっ!」  千尋の頭の中でぱちん、と音がした。  快感が白濁となって飛び散り、同時に意識も弾けて、夜闇の中に流れていく。  だから千尋は知らない。   その後穏やかな寝息を立てる千尋の横で、光也が長い時間を要して自分で欲を放っていたことは。

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