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お願い、僕をいじめて ②

(大きい……)  この三か月、光也のペニスを目の当たりにしたのは一度、八ヶ岳の別荘で一緒に入浴したときだけだ。  あのときも自分のものとは違い、男らしさを主張する存在に生唾を呑み込んだ。だが今、目の前でどくどくと脈打つそれは、千尋がどんなに大きく口を開いても入りそうにない。 「これ、一番大きくなってる状態、だよね?」 「今はまだ正気を保ってるから……俺もまだラットになったことがないから自分でもはっきりとわからないけど、そのときは多分もっと……」  光也は申しわけなさそうに首を振った。 「もっと……? これ以上……?」  唐突に、医師が「生命には関わらないが苦痛は大変強い」「似た症例が全て断念」と言った意味を心底理解する。 (先生、これは死んじゃうんじゃ……でも……)  千尋は唾を飲み下そうとしてやめて、口内の準備をした。口淫は初めてだが、妄想の中では何度もしてきた。光也にしてもらってきて、どうすれば気持ちいいかも知っている。  それに千尋もずっと思っていた。光也を()くしたい、伝えてくれる愛情を還したいと。  指で血脈に触れる。たくましい猛りがびくりと揺れた。  くびれから下を両手で包んでみる。強く結ばれた光也の口から熱を感じる吐息が漏れた。  見上げれば、自制心と欲情の間で闘う愛しい男の顔がある。いつかは彼のすべてを自分の中に迎え入れ、苦悶の表情を解いてやりたい。心からそう思う。 「ぁ、むっ」  声を出すつもりはなかったが、口をせいいっぱい開けた上で歯を立てないようにしようと思うと、餌づきそうに苦しかった。 「千尋、口に入れなくていい。手で……」  光也が気遣って腰を引く。ちゅぷんと音を立てて口から出したあと、千尋は咳き込みながら目の端に涙を浮かべた。 「自分でも触るから、千尋も手伝って?」  熱い息を抑え、髪を撫でてくれる。千尋はうなずき、熱の塊を両手で握った。  光也はその上に手を重ね、共に上下に動かす。 (あ……すごい……みっくんの……)  繰り返していると、桜色に染まった鈴口から蜜が滴った。鼻腔内が光也の雄の匂いで満ちて、頭が蕩けそうになる。 「千尋の手、気持ちいいよ」  切ないような、けれど甘い声で囁かれれば、自分がされているわけではないのに、うなじも下半身も熱くてむずむずした。後孔が濡れている感触もあり、指を入れて自分で慰めたくる。 (我慢、しなきゃ……)  腹に力を入れ、股をぎゅっと閉じる。それからもう一度口を開けて、今度は舌を出した。 「ァッ……千尋……!!」  光也の蜜を舌で拭い、鈴口を割ると、切羽詰まった声が聞こえた。  続けて縮れた筋に舌を押し当てる。いつも光也にそうされると、腰が蕩けそうにイイから。 (いっぱい気持ちよくなってほしい)  その一心で舌を動かし、光也とともに手を動かす。ハイアルファの頂点にはなかなか辿り着きはしないが、光也の息も猛りもさらに熱感を帯びていく。  そして突然、それは起こった。 

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